義務教育最後の年。子供たちは抽象的思考が育ち、自身の生い立ちを俯瞰して見つめることができる。さらには、親の背景にまで想いをはせることもできる。それが15歳である。ここに、児童虐待に真正面から向き合う実践を置いた。
自分だけを見てほしい――。青春時代に抱く淡い恋心が、誰かを傷つけることのないように、ここでは支配的な言動を法的な視点から否定し、両者にある「依存」に焦点を当てていく。
疾風怒濤(どとう)の思春期。心身の機能や性的な発育が目覚ましいこの時期、理性では抑えきれない心の揺れを、「脳機能」という視点で科学的に捉えていく。
「普通の人ができひんことを乗り越えて頑張ってきた。それを誇りにして生きていったらいい」 授業の中で、一人の児童が友達に贈った言葉である。受け取った児童は「心に刺さった。心の傷と向き合っていくのは不安やけど、自分一人じゃないと思えた」と語った。
高学年では、「人」と「人」との関係性について考えていく。親友、恋人、夫婦、親子など、一対一の特別な関係だからこそ起こる葛藤をテーマとし、異性への関心が高まりだすこの時期に、「恋愛」について学習する。
10歳。思春期の入り口に立ち、愛着に課題のある子供たちの心が揺れ始める時期だ。日常生活のふとした瞬間に、記憶の片隅にある母親のことを語り出したり、なぜ自分はここ(施設)にいるのかと問い掛けてきたりする。この時期の心の揺れの放置が他傷・自傷という形で表れていたのが、かつての「荒れ」であった。
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