社会で広まったHSPの考え方は、名状し難い「生きづらさ」をうまく代弁し、人々に受け入れられました。HSPという言葉と出合った人の中には「それまでの生きづらさがふに落ちた」と語る人もいます。事実として、HSPブームは一部の人々にとっては歓迎すべき現象だったと言えるでしょう。
前回、心理学の研究でHSPがどのように考えられているのかを紹介しました。すでにネットや書籍でHSPを知っていた方は、自分が知っているHSPの考え方とは違った説明のように感じたかもしれません。その感覚は正しいと言えます。なぜなら、ネットや書籍で説明されるHSPは多くの場合、学術上の考え方とはズレているためです。
私たちは一人一人感受性の程度が異なります。子どもを例に挙げてみると、子どもの心理社会的な発達にとって、家庭や学校は重要な環境です。ただ、そうした環境からどの程度影響を受けやすいか(感受性)には、個人差があるのです。例えば、ストレスの多い学校環境である場合、そこから影響を受けやすい子どももいれば、そうではない子どももいます。
近年、HSPあるいはHSCという言葉が学校現場に入り込み始めています。それぞれHighly Sensitive PersonとHighly Sensitive Childを略した言葉です。その意味については本連載でご紹介しますが、直訳すれば「とても感受性が高い人(子ども)」になります。2019年頃から、この言葉はマスメディアを通じてブームになり、23年現在もそれは続いています。
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