OECD(経済協力開発機構)が12月3日に公表した、生徒の学習到達度調査(PISA)の2018年調査で、日本の読解力は3年前の前回調査よりも順位、平均得点共に低下したことが分かった。日本はテキストの信ぴょう性を評価したり、自由記述形式の問題で根拠を示して説明したりすることに課題がみられた。
読解力は今回の調査の中心分野として位置付けられており、コンピューターでの生徒の解答状況により自動的に難易度の異なる問題が出題される「多段階適応型テスト」を導入。
問題にはブログの記事やメールの文章、科学雑誌のオンライン記事など、多様な課題文が用いられ、キーボードで文章を入力したり、マウスのドラッグ&ドロップ操作で画面上の選択肢を動かしたりして解答する。
全小問245問中173問が新規の問題で、日本の生徒にとってあまりなじみのない問題が増加したとみられる。
日本の場合、テキストから情報を探し出す能力を測る問題で、09年調査と比べ平均得点が低下。特に習熟度レベル5(626点以上)の高得点層の割合がOECD平均と同程度まで少なくなっていた。今回の調査で新たな測定項目として加わったテキストの質と信ぴょう性を評価したり、矛盾を見つけて対処したりする問題でも、正答率が低かった。
また、自由記述形式の問題では、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに課題がみられ、自分の考えを他者に伝わるように記述できなかったり、問題文からの語句の引用のみで説明が不十分な解答になったりする傾向があった。
例えば、商品の安全性を宣伝する企業のウェブサイトと安全性に関する別の見解を示したオンライン雑誌の記事を読み比べ、必要な情報がどのウェブサイトに記載されているかを推測して探し出したり、情報の質と信ぴょう性を評価し、自分ならどう対処するか、根拠を示して自由記述で説明したりする問題で、日本の正答率はOECD平均よりも低かった。
生徒への質問紙調査から読解力と読書活動の関係を分析したところ、OECD平均と比較すると、日本は読書を肯定的に捉える生徒の割合が多い傾向にあり、こうした生徒ほど読解力の得点が高い傾向にあった。
国語の授業に関する指標をみると、日本は「国語の授業における教師の支援」の値がOECD平均を上回り、国語の授業の雰囲気が良好であることが示された一方、「先生は、国語における私の長所を教えてくれる」「先生は、私の改善の余地がある部分について教えてくれる」などの「国語教師のフィードバックに関する生徒の認識」の値は、OECD平均より低かった。