大学で約3000着のこども服譲渡会 子育て巡り学生と母親対話も

大学で約3000着のこども服譲渡会 子育て巡り学生と母親対話も
約3000着のこども服を集めて大学内で開かれた譲渡会=撮影:山田博史
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 約3000着のこども服の譲渡会や母親らとの交流を通じて、環境問題や子育て支援など社会が抱える課題について学生たちが考える取り組みが9月4日、東京都文京区の東洋学園大学で開かれた。こども服の譲渡会が大学で行われるのは全国的に珍しく、母親からは「子どもが成長して、すぐサイズが合わなくなるので大変助かる」との声が上がる一方、参加した学生は「子育てで大変な思いをしているとの話を聞いて、改善が必要と感じた。より良い子育てができる社会について考えていきたい」などと話していた。

 同学でのこども服の譲渡会は、昨年に続いて2回目。サイズアウトして着られなくなったこども服を無料で提供することで、環境問題とともに子育て支援にもつなげようと、同学と文京区、クリーニング業界紙を発行するゼンドラ㈱の産学官の連携で企画された。

 譲渡会の企画運営には、同学人間科学部の種村文孝准教授の「人間社会演習」科目を学ぶ約30人の学生があたり、ゼンドラ社が全国のクリーニング店などを通じて集めたこども服を中心に約3000着が用意された。

 同学のホールで約5時間にわたって行われた譲渡会には、子ども連れの母親など約200人が訪れた。母親らは年代やサイズごとに仕分けされた服を手に取りながら、1世帯につき5点まで選んで持ち帰っていた。

 0歳の男の子を抱いて訪れた母親は「上が3歳の女児で、2人分のこども服を探したいと思って来た。子どもはすぐサイズアウトしてしまうのでこうした場は大変助かる」と話していた。また、3歳の孫の男の子の服を探しに訪れた女性は「学生が取り組んでいることが大変いいと思う。こちらも気持ちが明るくなり、社会に前向きになれる気がする」と話していた。

子育ての悩みを巡って母親と学生が対話

子育てしやすい社会をテーマに学生と母親らの対話も=撮影:山田博史
子育てしやすい社会をテーマに学生と母親らの対話も=撮影:山田博史

 また、譲渡会に先立って学生と母親らが子育てについて対話をする公開学習会も開かれた。文京区内を中心に60人以上の参加申し込みがあり、学生を交えて5、6人ずつのグループに分かれて、子育て支援の在り方などについて意見を交わされた。この中では、子ども連れの母親から「行政のサービスを利用したくても、どう手続きしたらいいのか分からず不安になる」「子どものいる人といない人の間に溝ができている。将来は今の子ども世代の世話になるから、社会で支えようと考えてくれるとありがたい」などといった声が上がり、学生たちはメモを取りながら耳を傾けていた。

 参加した母親の1人は「大学生が子育てをテーマに取り組む点が新鮮で足を運んだ。他の母親の話も聞けて大変有意義だった」と話していた。

 同学人間科学部3年の大塚美希さんは「子育て支援の需要があるのに供給が足りず、大変な思いをしているという声を聞いて改善が必要だと感じた。私も将来は子どもがほしいと考えているので、今日の話を思い返しながら行政の子育て支援についてもっと調べて、より良い子育てができる社会について考えたい」と話した。

 今回の取り組みを企画した種村准教授は「環境問題とともに子育て支援につながる点で意義のある取り組みであり、学生が子育てについて考えるきっかけになったことは良かった。学生には、地域の人との協力や善意が循環していく社会など、支え合うことの大切さを感じてほしい」と話していた。

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