いじめ再発防止で全員担任制導入 茨城県取手市が説明会

いじめ再発防止で全員担任制導入 茨城県取手市が説明会
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 茨城県取手市で2015年に、市立中学3年(当時)の女子生徒がいじめにより自死した事案を受け、同市教委は2月8日、再発防止を目的に20年度から導入する「全員担任制」について説明会を開いた。同市の「いじめ問題専門委員会」(委員長・藤川大祐千葉大学教授)が再発防止策として提言していた。説明会では、20年度から導入する小学校の「チーム指導」、教員間の「教育相談部会」についての説明もあった。

 全員担任制について、同市教委は「学級担任を固定して運営を教員1人に任せるのではなく、複数の教員で生徒を見守る仕組み」と説明。導入は中学1、2年生のみで、同じ学年を受け持つ教員4~9人程度が、交代しながら各クラスの学級担任を務める。交代期間は各学校が決める。想定しているのは数日や1週間、1カ月ごとなど。個別の相談や三者面談などをする教員は、生徒と保護者が選ぶ。

 中学3年生については、導入初年度が受験期になることから、急激な変化を避けるため見送るとした。21年度から導入の予定。特別支援学級については、高い専門性が必要だとして学級担任固定制を継続する。

 小学校では引き続き学級担任を置き、一部の授業や学級活動、給食、清掃などで部分的に、学級担任以外の教員も担当する仕組みを採る。具体的な内容は各校に委ねる方針。

 全員担任制は東京都千代田区立麴町中学校が18年度から本格実施しており、取手市も同校の事例を参考とした。先月14日には同校の工藤勇一校長を講師に招き、市立小中学校の校長や生徒指導主事らを対象とする講演会を開いた。

 2月8日の説明会は、市立小中学校のPTA役員を対象に開催。参加者からは「人気のある教員に相談が集中し、負担がかかるのではないか」「学校の責任が明確にならない」など、全員担任制で想定されるデメリットについて質問が相次いだ。

 伊藤哲教育長は「新しい制度では疑問点やトラブルが生じる。各校に設置予定の、元教員ら支援員や、子供の悩みに対応する教育相談部会を軸に、一つ一つ対応を考えたい」と応じた。

 同市ではこのほか、20年度から2学期制を導入し、始・終業式や成績評価の回数を減らすことで、教員が児童生徒と向き合う時間を増やすとしている。今後は2月中旬から3月にかけて、各校で校長らが保護者説明会を実施する。

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