アジア諸国の英語教育について調査した全国都道府県教育長協議会総合部会は2月18日、研究報告書を公表した。中国、台湾、タイ、ベトナム、韓国の英語教育についてまとめたほか、英語教育や教員研修の質が高いことで知られるマレーシアは視察調査も行った。
同報告書によると、中国では▽小学3年生から必修で、専科教員が担当▽小学校から高級中学までの英語力の到達目標を9級(レベル)で設定▽現職英語教員研修を5年ごとに計画し、240時間以上実施。
台湾は▽小学3年生から必修で、学級担任か専科教員が担当▽CEFRによる各学校段階の4技能の能力指標を導入▽地区で推薦された教員グループ「補導団」が研修を企画・運営。
タイでは▽初等教育1学年から中等教育12学年まで必修科目▽初等教育終了時までにCEFR A1を達成することが目標▽全英語教員が英語の能力を測るために、CEFRに基づく試験を受験。
ベトナムは▽初等教育3学年から選択科目として開始▽小学校卒業時にCEFR A1レベル達成が目標▽教員志望者の大学卒業時の必須レベルをCEFR C1と設定。
韓国は▽小学3年生から必修▽小学4、5年生でCEFR A1が目標▽全ての初等学校教員が「基礎(一般)研修」(120時)を受講。
マレーシアでは▽小学1年生から必修で、専科教員が担当▽初等教育段階で、日本の中学3年間の内容を学習▽英語教員のための職能開発コースとして、補習サポート研修を実施――という状況だった。
同国には現地訪問もして、教員研修施設や小中学校などを視察した。
そのうちの1校、マレー系中学校のスリ・セントーサ国民学校(生徒1770人、教員156人、サポートスタッフ12人)では、外国語教育と連携した教科横断的学習を実施。生徒はマレーシアが直面する課題をテーマに、グループで簡単な英語を交えながら議論し、英語教育と市民性教育をつなげた学習をしていたという。
同研究は諸外国の外国語教育の状況を研究することで、各都道府県の英語教育の改善を図るのが狙い。同部会の長谷川洋・愛知県教育長を中心に、愛知県、神奈川県、鹿児島県が昨年4月から12月にかけて実施した。