4技能を伸ばす「言語活動」 武蔵野大学中学校で独自授業

4技能を伸ばす「言語活動」 武蔵野大学中学校で独自授業
制作したポスターを使って、3分間の発表をする生徒ら
【協賛企画】
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 言語の4技能を伸ばす——。先進的なグローバル教育を実践している武蔵野大学中学校(日野田直彦校長、生徒253人)では、今年度より中学1年生において独自の授業「言語活動」が行われている。「日本語で正しい言語表現ができなければ、英語で表現するのは難しい」との考えから、言語の4技能「読む・聞く・書く・話す」を伸ばすことを目的に、授業は英語科と国語科の教員が担当している。2月18日の授業では、「職業の魅力を伝える」をテーマに、ポスターセッション方式による発表が行われた。

 中学1年生は週に8時間の英語の授業があり、そのうちの1時間で「言語活動」の授業が行われている。授業では、ブレーンストーミングやマインドマップの作成、ネゴシエーションスキル、スピーチやプレゼンテーションなどについて学んでいる。

 2学期からは、職業の魅力を伝えることをテーマに授業が行われてきた。まず、生徒は、自分たちの学校生活を支えてくれているさまざまな職業をピックアップ。グループに分かれ、「学校事務員」「図書館司書」「食堂スタッフ」「造園業者」「大学教授」「清掃員」など、興味のある職業について下調べを重ねた。

 その後、企画書を作った上で、それぞれの仕事に就く人たちにアポイントを取り、仕事内容や仕事の魅力、苦労などについてインタビューを行い、ポスターにまとめてきた。

 この日の授業では、9グループのうち、4グループが発表。3分間をうまく使って発表できるよう、グループごとに練習を重ね、ポスターセッション方式でそれぞれ2回ずつ発表が行われた。

 1回目の発表では、1分近く発表時間が余ってしまうグループや、思っていたことをうまく話せなかったグループもあった。

 その後、発表を聞いていた生徒や教員から質問やフィードバックをもらい、2回目の発表ではそれぞれのグループが時間をうまく使えるように質問が出た内容を加えたり、ポスターには載せきれなかったことを発表に取り入れたりなど工夫していた。

 指導する国語科の小幡武憲教諭は「授業の中で改善させることを重要視している。失敗から学んで次に生かせるよう、何度も試行錯誤できるチャンスを与えている」と話す。

 生徒からは「この1年で、たくさんのプレゼンの機会があった。人前で意見を発表することに対して緊張しなくなってきた」「友達のプレゼンを、どうやったらあんなにうまくできるんだろうと考えながら見ている」といった感想が出ていた。

 小幡教諭は「言語活動の授業を通して、自分の意見を自由に表現していいという心理的安全性を高めてきた」と強調。「生徒は、この授業だけでなく、ほかの授業においても、ためらいなく自分の意見を言えるようになってきた。また、常にプラスになるフィードバックを友達にするように伝えている。それにより、伝え方がうまくなるなど、コミュニケーション能力が高まっていることを実感している」と、この1年の取り組みを振り返った。

 次年度からは、中学1年生と2年生に「言語活動」の授業が行われる予定。教科を越えて取り組んでいるこの授業について「答えがない授業なので、どんなところに行き着くのか、教員側もワクワクしながら授業をしている」と小幡教諭は話す。

 同じく授業を担当する英語科の宇井瑞穂教諭は「教員も授業をしながら常に改善を重ねている。2年生の言語活動においては英語を使った言語表現にも取り組むなど、さらにグレードアップさせていきたい」と意気込みを語った。

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