進まないオンライン授業に危機感 保護者がシンポで訴え

進まないオンライン授業に危機感 保護者がシンポで訴え
オンライン会議システムを使って行われたシンポジウムの様子
【協賛企画】
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 オンライン授業の課題を保護者の視点から話し合うため、超教育協会(会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)は7月27日、オンラインシンポジウムを開いた。席上、東京都内で学校へのICT教育の推進を求める保護者団体の代表者が、休校期間中にオンライン授業が進まなかった状況への危機意識や、今年度中に1人1台端末の整備を前倒しして実現するGIGAスクール構想について学校と保護者が連携する必要性を訴えた。

 シンポジウムでは、休校期間中に保護者らが立ち上げた「中央区立小中学校オンライン教育を考える有志の会」の平井美和さんと、「世田谷公教育におけるICT利活用を考える会」の吉澤卓さんが登壇し、それぞれの取り組みを紹介した。

 東京23区の中でオンライン授業の実施が遅れた中央区の状況に危機感を覚えた平井さんらは、4月下旬に区立小中学校に子供を通わせている保護者1567人にアンケートを実施したところ、保護者の95.1%がオンライン授業に賛成の意向を示した。この結果を受け、平井さんらは、区に対して、オンラインによる「朝の会」を始めるなど、オンライン授業の推進に向けた具体案を提言した。

 平井さんは「中央区では、端末の整備は今年度中には難しいという報道が出ているなど、オンライン授業が進んでいない。もう少しPTAとやっていけないかと思っている。学校がまたいつ休校になるか分からない。学びを止めない取り組みを、学校に丸投げせずに、保護者でもできることを一緒に考えていきたい」と話した。

 一方、世田谷区でも吉澤さんらが中心となり、オンライン授業だけでなく、学校のICT利活用をテーマにした働き掛けを始め、保護者へのアンケートの実施や、7月25日には教育委員会の担当者と教員らが参加したオンラインミーティングを開催。学校のICT化に向けた課題を話し合った。

 吉澤さんは「教育委員会や教員は、なぜそんなにオンライン授業ができないのか。その背景には自治体の個人情報保護条例によって、学校にある端末のほとんどがインターネットにつながっていない問題がある。休校の間にオンライン授業ができなかったことにはイライラさせられたが、教育委員会や学校のルールを変えていかなければいけないと感じた」と述べ、自治体ごとに異なる個人情報保護条例の見直しが必要と指摘した。

 さらに吉澤さんは「少しずつ学校現場にICTが整備されている状況を保護者に広め、その上で学校にアプローチしていければと思っている。教育の最前線の取り組みを、私たちが間に入って保護者にしっかり伝えて、何が必要なのかを一緒に考えていく必要がある」と、保護者や地域への情報発信が重要だとの見方を示した。

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