大阪市教委は9月17日までに、学校のいじめ問題に対応する第三者委員会を常設とすることを、同市総合教育会議で決定した。重大事案発生後にメンバー選定が始まることで初動が遅れ、正確な調査ができないことなどが課題となっており、対策への議論を続けていた。
同市では、2018年1月に中学1年生(当時)が自死。今年3月に調査報告書が提出され、いじめが自死の要因だと因果関係を認めた。ところが、委員の選定に4カ月を要し、問題把握のために重要な発生直後の調査が大幅に遅れ、さらに専門性を持った調査になっていないことが問題となった。
そこでこうした課題に対し、あらかじめ委員を委託しておくことで、人選の時間を省略。さらに専門性を持つ第三者を選定しておくことで、迅速で適正な調査が可能になることから、第三者委の常設を決めた。
同市教委は「これまでの第三者委は初動までに多くの時間を要し、2年といった調査審議の長期化にもつながっていた。あらかじめ委員を選定する運用で初動を早められ、教員の負担も減らすことができる」と説明する。
常設委のメンバーは弁護士6人、臨床心理士3人、教育専門家3人ほどを予定。この中から発生事案に応じ、最適な調査チームを結成し、速やかに調査に取り掛かる。
委員の任期は2年で、更新も可能とする。すでにメンバー選定に動いており、中立性を考慮しながら、慎重に人選を進めているという。常設化の具体的な日程は決まっていないが、同市教委では「それほど時間はかけられない。年度内も視野に進めていく」としている。