教職員の働き方改革に関連して、文科省は11月4日、学校給食費の徴収や管理を教員や学校が行うのではなく、自治体が業務として行う「公会計化」について、各教育委員会の取り組み状況を初めて調査した結果をとりまとめた。それによると、全国の市町村など1799教委のうち、公会計化を「実施している」「準備・検討している」として取り組んでいるのは962教委(57.1%)だった。一方、「実施を予定していない」と回答したのは724教委(42.9%)に上った。萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、「教員の働き方改革という行政課題をどう克服するかという観点から、創意工夫してほしい」と述べ、学校給食費の公会計化に取り組むよう、各自治体に改めて促した。
同調査は、小中学校などの設置者である全国1799自治体の教委全てを対象に、昨年12月時点の推進状況を調べた。文科省では、教員の業務負担を軽減させる働き方改革の一環として、学校給食費について、地方自治体の会計に組み入れる「公会計制度」を採用するとともに、徴収や管理を教員や学校が行うのではなく、自治体が自らの業務として行う「公会計化」の推進を促している。
調査結果によると、学校給食費の公会計化を「実施している」と答えたのは438教委(26.0%)、「準備・検討している」は524教委(31.1%)で、公会計化に取り組んでいるのは合計で962教委(57.1%)だった。
これに対して、「実施を予定していない」と回答したのは724教委(42.9%)で、全体の4割を超える教委が、学校給食費の公会計化に取り組んでいない現状が判明した。
公会計化の「実施を予定してない」と回答した自治体に、支障になっている理由を複数回答で聞いたところ、▽情報管理のための業務システムの導入・改修にかかる経費(398自治体)▽人員の確保(391)▽情報管理のための業務システムの運用にかかる経費(351自治体)▽徴収や未納などへの対応における徴税部門などとの連携(279)--など、首長や首長部局との調整を挙げた教委が多かった。
一方、公会計化の「実施を予定してない」との回答には、「教育委員会の判断」を理由に挙げたのが316教委あった。その理由として「現時点では具体的な検討を行っていない」「公会計化していないが、徴収や管理に係る教員の負担軽減策を講じている」「保護者と信頼関係のある学校が担った方が円滑」「他市町村等の動向を見て、検討したい」などが挙げられた。
学校給食費の公会計化について「実施を予定してない」と回答した教委の割合を都道府県別にみると、▽佐賀県(76.5%)▽熊本県(72.7%)▽福島県(64.6%)▽新潟県(64.5%)▽栃木県(64.0%)--の順で高かった。
この結果について、萩生田文科相は「教員が本来担うべき業務は、子供としっかりと向き合い、教育活動を行うこと。その時間を確保するため、各地方公共団体は(学校給食費の公会計化の)導入に向けて積極的な検討をお願いしたい」と、改めて自治体と教委に取り組みを要請。
続けて「小規模な自治体では、そんなに負担なく現場で(学校給食費の徴収が)行われている例もあると思う。一定数の学校を抱えていて、どうしていいか分からないという自治体は、ぜひ文科省が発信する好事例をよく見てほしい。広域行政で徴収コストを抑えている自治体の例などもある。知恵を絞れば、コストを低くしてシステム化ができる」と説明した。