学習者用デジタル教科書の使用を、各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととする文科省告示の現行基準を撤廃する方針を受け、同省の検討会議は1月27日、学校現場でデジタル教科書を活用する際の現行のガイドライン(2018年12月策定)も改訂する方針を示した。
改定後のガイドライン案では、使用基準の撤廃にあたって「児童生徒の健康に関する留意事項について周知・徹底を図り、必要な対応方策を講じるとともに、ICTの活用に係る教員の指導力の向上のための施策等を講じていくことを前提として、デジタル教科書の活用の可能性を広げて児童生徒の学びの充実を図る」と説明。
また「これは学習者用デジタル教科書を、各教科等の授業時数の2分の1以上において、必ず使用しなければならないということを意味するものではなく、あくまでも必要に応じて、学習者用デジタル教科書をより有効に使用できる環境を整えるための措置である」と、学校現場の理解を促した。ガイドライン案で新たに追記された主な箇所は、次の通り。
デジタル教科書のメリットとしては「直接画面に書き込みができ、その内容の消去や、やり直しを簡単に行うことができるため、作業に取り掛かりやすく、繰り返し試行錯誤することが容易」「アクセシビリティーやユーザビリティーが確保されれば、紙の教科書へのアクセスが困難だった障害のある児童生徒が教科書へアクセスできるようになる」などとされた。
また教員にとっても「授業支援システムとの連携により、教師側の画面で児童生徒がデジタル教科書に書き込んだ内容を見ながらの授業の進行がしやすくなり、クラス全体に対して特定の児童生徒の書き込んだ内容を共有して指導を行うことなどができる」などの利点が挙げられた。
一方で本格導入に当たっては、必要な機能や教材などとの連携方法、教員の指導力の向上、障害のある児童生徒や外国人児童生徒への対応など、具体的な使用方法について全国規模で実証的な検証を行いつつ、検討する必要があるとした。
さらに教科書の範囲にデジタルの特性を生かして、動画や音声を取り入れることも考えられ、教科書検定の在り方の検討が必要となるものの、次回24(令和6)年度の小学校用教科書の改訂についてはすでに準備が進められていることから、次々回の改訂を念頭に検討することが適当だとした。
文科省は今回の使用基準の見直しについて、今月27日から3月1日にかけてパブリックコメントを募集する。詳細はe-Govのウェブサイトで確認できる。