小学校の学級編制標準を現行の40人(1年生は35人)から35人に引き下げることを目指す、義務標準法改正案の採決が3月17日、衆院文科委で行われ、全会一致で可決された。これを受けて与野党の5つの会派から「中学校の35人学級の検討を含め、学校の指導体制の構築に努めること」や「教員免許更新制の大幅な縮小や廃止を含め検証検討を行い、必要な措置を講ずること」などを政府に求める附帯決議案が共同提案され、同じく全会一致で可決された。18日の衆院本会議で可決される。
17日の衆院文科委では、8人の委員が質問に立ち、「小学校の35人学級は実現するが、中学校の35人学級についてはどう考えているのか」「35人学級の実現にあたって加配定数の一部を基礎定数に振り替えるとあるが、いじめなど特定の目的で配置された加配定数が削減されると、その役割が達成できなくなるのではないか」など、中学校の35人学級実現の見通しや加配定数の削減を懸念する質問などが相次いだ。
これに対し、萩生田光一文科相は「一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず中学校でもその必要性は全く変わらないと認識している。今回の学級編制標準の引き下げを計画的に実施する中で、実証的な研究や検証を行い、その結果を踏まえ、中学校も含め学校の望ましい指導体制の在り方について検討したい」と述べた。
また、加配定数に関しては、「必要な加配はしっかり配置していくことを基本姿勢として約束したい。少人数学級を進めたら現場が大変になったというのでは、全然改善されたことにならないので、中身を見ながら対応することを約束したい」と強調した。
質疑の終了後、義務標準法改正案に関する採決が行われ、全会一致で可決された。
またこの後に、義務標準法改正案に対する附帯決議案が与野党の5つの会派から共同提案され、同じく全会一致で可決された。
附帯決議案には「政府および関係者は本法の施行にあたっては、次の事項について特段の配慮をすべきである」として、8つの項目が盛り込まれた。はじめに「政府は少人数学級の効果、検証結果等を踏まえ、中学校の35人学級の検討を含め、学校の望ましい指導体制の構築に努めること」として、中学校の35人学級に向けた検討を求めている。
また、教職員の加配定数に関して「小学校6年生までの段階的な35人学級編制は必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源で措置すること」として配慮を求めている。
さらに現場の教員の負担になっていると指摘される教員免許更新制については、「大幅な縮小や廃止を含め、教員の資質能力の確保、負担の軽減、必要な教員の確保の観点から検証検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること」と求めている。