【免許更新制】調査結果は「負担感や不満を反映」 文科相

【免許更新制】調査結果は「負担感や不満を反映」 文科相
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 文科省が公表した教員免許更新講習を巡る現場教員へのアンケート調査の結果について、萩生田光一文科相は7月6日の閣議後会見で、「教員免許更新制に負担感や不満を感じている教員が相当数いるという状況を反映しているのではないか」と指摘した上で、「スピード感を持って制度改革を進めていきたい」と述べ、改めて教員免許更新制の抜本的な見直しに意欲を表明した。また、更新講習の内容を厳しく評価する教員が多かったことをついては「『講義は面白かったけれど、役には立たない』という事態が生じている。ミスマッチが浮き彫りになった結果ではないか」との見方を示した。

 この調査は、同省の委託を受けた民間調査機関が全国の現場教員を対象にインターネット経由で抽出調査を行ったもので、2108人が回答。結果は7月5日の中教審教員免許更新制小委員会で報告された。免許更新講習の総合的な満足度を聞いたところ、「やや不満」「不満」を合わせた否定的な答えが58.5%となり、「満足」「やや満足」を合わせた19.1%を大幅に上回った。教員免許更新制全般に対する自由意見では、「制度自体を廃止すべき・免許更新制度に意義を感じない」が50.4%で過半となった。

グラフ①
グラフ①

 萩生田文科相は「教員免許更新制については従来、教師が多忙な中で、限られた時間を使って更新講習を受講しなければならず、個々のニーズに合った講習ではなく、スケジュール的に受けられる講習を受けているなど、負担感や不満も生じているとの声を、私としても聞いていた」と説明。厳しい内容となった調査結果について、「教員免許更新制に負担感や不満を感じている教師の方が相当数いるという状況を反映しているのではないかと思う」との認識を示した。

 その上で、中教審に対して3月12日、教員制度改革を包括的に諮問する中で、教員免許更新制の抜本的な見直しについて先行して結論を出すよう求め、現在、教員免許更新制小委で存廃を含めた検討が進んでいることに言及。「そこでの議論をしっかりと見守りつつ、スピード感を持って制度改革を進めていきたい」と述べ、教員免許更新制の見直しに積極的に取り組む姿勢を改めて確認した。

 調査結果によると、受講した講義内容の満足度を受講直後に聞いたところ、「満足」「やや満足」を合わせた肯定的な答えが計57.9%と過半を占め、「やや不満」「不満」の計16.1%を大きく上回った=グラフ①。一方、受講した講習が現在の教育現場で役に立っているかとの質問には、「あまり役立っていない」「役立っていない」を合わせた否定的な答えが37.8%になり、「役立っている」「やや役立っている」の計33.4%を上回った=グラフ②。

グラフ②
グラフ②

 この結果について、萩生田文科相は「『満足』と『やや満足』を足すと6割という結果なので、必ずしも講義の内容が不満だということではない。教師として現場でのスキルに関係性がない講義も受けなければならないので、『講義は面白かったけれど、役には立たない』という事態が生じている。ミスマッチが浮き彫りになった結果ではないかと思っている」との見方を示した。

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