新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、臨時休校や出席停止などにより、やむを得ず学校に登校できない児童生徒が増加することが懸念されるとして、文科省は8月30日までに、事務連絡を発出し、そうした児童生徒へのICTを活用した学習指導についての考え方やチェックリスト、事例集などを示した。
事務連絡では、基本的な考え方として「やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対しては、学習に著しい遅れが生じることのないようにするとともに、規則正しい生活習慣を維持し、学校と児童生徒との関係を継続することが重要」として、端末を自宅に持ち帰り、オンライン朝の会や健康観察、学習課題の配信、同時双方向型の学習指導など、コミュニケーションを絶やさず、学びを止めないようにする取り組みが重要だとした。
その上で、通信環境の整っていない家庭に対してモバイルルーターなどを貸し出したり、学校側でカメラやマイクなどの周辺設備を整備したりするための国の補助があることを周知し、積極的な活用を自治体に呼び掛けた。
GIGAスクール構想での端末整備は多くの自治体で完了している一方、自宅への持ち帰りをしていない学校も少なくないことから、事務連絡では「非常時のICT端末の持ち帰り学習について、実施の準備をしていない学校においては、早急に準備に取り掛かること」と強調した。
ICTを活用した学習指導については「児童生徒のコミュニケーションを絶やさない観点で、できる取り組みから着実に実施されたい」と要請。例として、自宅などに持ち帰らせた端末にあるクラス管理機能、チャット機能、ファイル共有機能などを活用して、朝の会を行ったり、同時双方向型のウェブ会議システムで健康観察を行ったりして、会話する機会を確保することから始めることを示した。
学習指導については、主たる教材である教科書を使った指導や、オンデマンド動画、テレビ放送などの教材を併用した指導、学習者用デジタル教科書・デジタル教材を用いた指導などを例示。併せて「児童生徒の発達の段階や学習の状況を踏まえ、適切な内容や量となるよう留意すること」とした。
文科省は事務連絡とともに、やむを得ず学校に登校できない児童生徒へのICTを活用した学習指導を行う上でのチェックリストを示した。項目は次の通り。また、各自治体での取り組み事例は文科省ウェブサイトで読むことができる。
やむを得ず学校に登校できない児童生徒へのICT を活用した学習指導等を行うためのチェックリスト
学校においては、下記2.の準備や経験が十分でなかった場合でも、児童生徒に対してはICT端末を自宅等に持ち帰らせるなどして、児童生徒の学びを止めないことが重要であり、以下の例を参考としつつ、できる取組から実施してください。
①指導全般
②臨時休業等により一斉でのICTを活用した学習指導等を行う場合
③出席停止等の児童生徒と自宅等をつないだICTを活用した学習指導等を行う場合
児童生徒へのICTを活用した学習指導等がいつでも実施できるよう、教育委員会は学校と協力して、自宅等の通信環境の把握、学校のICT環境の整備・準備等を行っておく必要があります。特に、同時双方向型のウェブ会議システムを活用する際には音声が安定していることに留意する必要があります。また、学校において不足しているものがあれば、教育委員会において整備等の支援を行う必要があります。
①自宅等での利活用に向けた準備
②学校でのICT環境に関する準備
【必ず必要なもの】
【活用すると有用であるもの】
③教師が自宅等から学習指導等を行う場合の準備
④教育用に無償で提供されている学習用ツール