岸田文雄首相は10月8日、国会で就任後初の所信表明演説を行い、「新型コロナ対応」「新しい資本主義の実現」「外交・安全保障」の3つの政策を着実に実行する方針を示した。子育て・教育関連では、新型コロナウイルスの影響を受けた子育て世帯への給付金や教育費の支援のほか、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充などを掲げ、「子供目線での行政の在り方を検討し、実現する」と力を込めた。
岸田首相は「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした「新しい資本主義」を打ち出した。成長戦略と分配戦略を車の両輪とし、成長戦略では「科学技術立国の実現」を掲げて、学部や修士・博士課程の再編、拡充などの人材育成を促進するとしたほか、世界最高水準の研究大学を形成するため、10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置すると述べた。
同時に、経済成長のためには「人生百年時代の不安解消」が必要だとして、学び直しや兼業・副業などの多様で柔軟な働き方をする上でのセーフティーネットの確保を訴え、「人生百年時代を見据えて、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる、全世代型社会保障の構築を進める」と語った。
一方の分配戦略では「中間層の拡大と少子化対策」を柱の一つに掲げ、「大学卒業後の所得に応じて『出世払い』を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていく」としたほか、「保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援を促進する」と強調した。また、保育などの現場で働く人の収入増を目指す考えを明らかにした。
岸田首相はさらに、8日朝の閣議で新たな経済対策を策定するよう指示したと報告。「総合的かつ大胆な経済対策を速やかに取りまとめる」とした。その上で、「経済的格差、地域的格差などがもたらす分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り開いていかなければならない。そのために、みんなで前に進んでいくためのワンチームを作り上げる」と呼び掛けた。