探究・STEAM教育推進へエコシステムを 3府省WG中間まとめ

探究・STEAM教育推進へエコシステムを 3府省WG中間まとめ
iStock.com/metamorworks
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 子供たちの探究力を育てる具体策などを検討している、文科省など3府省でつくるワーキンググループ(WG)は12月24日、「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(中間まとめ)」を公表した。分野横断的な「総合知」が求められる時代において、社会的課題への感覚を養うSTEAM教育の重要性を指摘し、大学や企業などと学校が連携した探究・STEAM教育を支えるエコシステムの確立などを盛り込んだ。WGは中間まとめに対する意見を来月16日まで広く募集し、寄せられた意見を踏まえて来年3月に最終まとめ・政策パッケージを策定する。

 「総合科学技術・イノベーション会議教育・人材育成WG」(座長・藤井輝夫東京大学総長)は、文科省の中教審と内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、経産省の産業構造審議会の委員らで構成され、子供たちの探究力育成やSTEAM教育の推進に向けて5回にわたって議論を重ねてきた。

 24日に公表された政策パッケージ(中間まとめ)では、社会構造と子供たちを取り巻く環境の変化について、デジタル化などが急速に進んで分野・業界を超えた新しい価値の創造が求められる「人間を中心としたSociety5.0DX」の時代を迎える中、分野横断的で多様な「総合知」が必要となってくると説明。サイエンスをベースに社会的課題への感覚を養うSTEAM教育の重要性が増していると強調している。

 また、中学卒業時は比較的高い理数リテラシーを持つ子供が4割いるにもかかわらず、高校段階では文理が分断されて理系が半減することに加え、特に女子の理系離れが深刻であるなどと指摘。多様性などを重視した教育・人材育成システムの抜本的な転換が急務だとしている。

 その上で今後求められる政策として、▽子供の特性を重視した学びの「時間」と「空間」の多様化▽探究・STEAM教育を社会全体で支えるエコシステムの確立▽文理分断からの脱却・理数系の学びに関するジェンダーギャップの解消――の3つを掲げている。

 具体的には、紙ベースの一斉授業から大きく転換し、多様な子供たちに対しICTも活用して個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させるため、子供たちの学びの場で大学や企業など、さまざまなリソースを活用する。また、小学生の頃から「なぜ?」を引き出す好奇心に基づいた学びの実現や、高校段階では本格的なSTEAM教育を推進できるよう、社会全体でエコシステムの確立を目指す。そのためにも大学や企業などの最先端の研究活動に触れられるよう、学校や子供とつなぐプラットフォームを構築する。

 さらにジェンダーギャップの解消に向けては、保護者や学校、社会によるジェンダーバイアスの排除に向けて、女性が理系を選択しない要因について大規模調査を実施することなどを盛り込んだ。

 同WGは中間まとめについて、来年1月16日まで広く意見募集し、寄せられた意見も踏まえて来年3月に最終まとめ・政策パッケージを策定する。その上で今後5年程度の時間軸で、政府全体としてどのような政策を展開していくかのロードマップを作成する。

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