指針策定に向け子供の居場所づくりを議論 検討委発足

指針策定に向け子供の居場所づくりを議論 検討委発足
子供の居場所づくりを調査研究する検討委であいさつする野田担当相
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 こども家庭庁の来年4月発足を前に、家や学校以外に子どもが安心して過ごせる居場所づくりを調査研究する検討委員会の初会合が8月8日、オンラインを交えて開かれた。冒頭のあいさつで、野田聖子こども政策担当相は「こども家庭庁では、子供の居場所づくりに関する指針を策定して、政府全体の取り組みを推進するとともに、皆さんと連携してさまざまな居場所づくりを進めていく。子供が日々成長することを考えると、子供政策に関する課題は待ったなしであり、子供の居場所についての実態把握や論点の整備に関する調査研究を進めていく」と検討委の狙いを述べた。

 先の国会で成立したこども家庭庁設置法では、同庁の所掌事務として、「地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保」が規定されている。また昨年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(基本方針)では、基本理念として「全てのこどもが、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、 さまざまな学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態(Well-being)で成長し、社会で活躍していけるようにすること」を掲げているほか、こども家庭庁が子供の居場所づくりに関する指針を策定し、政府全体の取り組みを推進することとしている。

 これらを踏まえて、指針の策定に向けて、こども家庭庁の創設を待たずに、子供の居場所についての実態把握や論点の整理を行うための調査研究を実施し、検討委で議論することとなった。具体的には、子供の居場所に関する先行研究の整理・分析のほか、国や地方自治体で行われている施策、民間団体など先進的取り組みの把握、民間団体や専門的な知見を持つ有識者からのヒアリング、ウェブアンケートをはじめ児童館や青少年センターなどでのインタビューを含む複数の手法による子供や若者の意見聴取――を行っていく。

 今後、検討委ではこれらの結果を踏まえて、子供の居場所づくりに係る論点整理、視点・理念の検討を行い、年度内にもこども家庭庁に対する報告書を取りまとめる予定。

 あいさつで野田担当相は「日本では、居場所というと形にこだわるが、屋根のあるところだけが居場所ではなくて、屋根がなくてもそこに誰かがいること、言葉はなくてもいてくれるだけでも居場所になる。子供にとって本当に幸せだと思えるようなものを目指していただきたい」と議論の行き先に期待を寄せた。

 検討委の委員は次の通り。▽阿比留久美早稲田大学文化構想学部准教授▽青山鉄兵文教大学人間科学部准教授、(独)国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター副センター長▽荒木裕美宮城県石巻市子どもセンターらいつ館長、NPO法人ベビースマイル石巻代表理事▽大空幸星NPO法人あなたのいばしょ理事長▽菅野祐太認定NPO法人カタリバディレクター▽山本昌子ボランティア団体ACHAプロジェクト代表▽湯浅誠東京大学先端科学技術研究センター特任教授、NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ理事長(座長)▽李炯植NPO法人Learning for All代表理事

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