公立小中学校の老朽化、5年間でほぼ倍に 文科省調べ

公立小中学校の老朽化、5年間でほぼ倍に 文科省調べ
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 全国の公立小中学校の老朽化面積(築45年以上の面積)が、2016年度から昨年度までの5年間でほぼ倍になったことが、文科省が8月8日に公表した「公立学校施設の老朽化状況調査」の結果で分かった。老朽化した建物はガラスの破損や内外装材の落下など、非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、同省は安全確保の観点から、非構造部材の落下防止を含めた老朽化対策の取り組みを支援する方針。

 同調査は昨年4月1日から今年3月31日まで、全国の公立小中学校(中等教育学校の前期課程を含む)と義務教育学校の施設を対象に行われた。

公立小中学校の老朽化面積
公立小中学校の老朽化面積

 調査結果によると、公立小中学校施設の老朽化面積は昨年度で3338万平方メートル。前回16年度の1834万平方メートルに比べ、ほぼ倍となっており、老朽化が進んでいる実態が明らかになった。一方で、安全面の不具合発生件数は昨年度で2万2029件。16年度の3万1677件から減少した。発生件数の多い安全面の不具合としては、▽消防用設備などの動作不良・故障など(8751件)▽床材の浮き・はがれ(2406件)▽軒裏のモルタル片などが落下(1211件)▽照明器具・コンセント・分電盤など漏電(1109件)――が上がった。

公立小中学校の不具合発生件数
公立小中学校の不具合発生件数

 文科省は「不具合の発生は前回調査より減少しているものの、日常的な点検や修繕を行い、建物を健全な状態に保つための改修を適切なタイミングで実施し、致命的な損傷の発現を事前に防ぐ必要がある」と説明している。

 また、同省は同日、「公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査」の結果も公表。校種別で見ると、▽幼稚園 97.7%(前年度97.1%)▽小中学校 99.7%(同99.6%)▽高校 99.4%(同99.1%)▽特別支援学校 99.9%(同99.7%)――となっており、全ての校種で前年度より改善した。また公立小中学校については、来年度末までにさらに111棟で対策が完了し、改修が完了していない施設は177棟になる見込み。

 屋内運動場の放送機器や窓ガラスといった非構造部材の対策実施率についても、校種別に▽幼稚園 69.5%(前年度52.0%)▽小中学校 66.1%(同52.1%)▽高校 54.7%(同49.1%)▽特別支援学校66.5%(同59.5%)――となり、全ての校種で改善。幼稚園や小中学校では7割近く対策が進んだ。非構造部材の耐震化については、同省がガイドブックにまとめている。

 屋内運動場の吊り天井や照明器具などの落下防止については、対策が終わっていない小中学校が145件(実施率99.5%)と、前年度より19件少なくなった。その他の校種別の実施率は▽幼稚園 100%(前年度100%)▽高校 99.0%(同98.2%)▽特別支援学校 99.8%(同99.7%)――となった。

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