永岡文科相就任会見詳報 「母親、おばあちゃんの視点を政策に」

永岡文科相就任会見詳報 「母親、おばあちゃんの視点を政策に」
就任会見をする永岡文科相。初入閣に笑顔がこぼれた
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 第2次岸田改造内閣で初入閣した永岡桂子文科相は8月10日夜の就任会見で、近年、男性が文科相に就任するケースが続いていたことに触れ、「久しぶりの女性の大臣ということで、母親の視点、またおばあちゃんの視点、これをしっかりと行政に政策を落としていきたい」と意気込みを見せた。また児童生徒の発達の中で、男女の平等や相互理解を学ぶことの重要性を指摘し、その中で特に「女性の視点」が大切になると語った。

 女性の文科相は2012年10月に就任した田中眞紀子氏以来、およそ10年ぶり。永岡文科相は「児童生徒というのは、発達段階において男女の平等とか、男女の相互理解とか、あとは協力の重要性というものを非常に重要視しなければいけないと考えている。そういう点では特に女性の視点というのが大切になってくると思っている」と指摘し、また「それぞれの事柄で、お母さんの視点というのも重要なのかなと(思う)」と述べた。

 公式ホームページによれば長女、次女と3人家族だという永岡文科相。就任会見で校則の在り方について問われた時には、母親としての一面ものぞかせた。「校則というのは社会の常識や時代の変化などを踏まえて、絶えず積極的に見直していくことが重要であると考えている。私の時代にはなかったルーズソックスが、私の子供の時代にあって、私はお母さんの立場からではあったけれども、『かわいいよね』と実は思っていたが、学校ではだめだと言われた。『(娘に)学校の言う通りにしなければいけないよね』と話したことがあった。しかしながら、それは時代の変化を踏まえ、積極的に絶えず見直していくことだと思っている」。

 第2次岸田改造内閣で女性の閣僚が19人中2人(永岡文科相、高市早苗経済安全保障相)にとどまったことについては「多い、少ないというのは、女性が何人いればいいかということではなくて、やはりその任に適した方が女性だった、男性だったというような判断が適切なのではないか」との見解を示した。

 10日の就任会見における、教育関連の主な一問一答は次の通り。

永岡文科相 みなさま、こんばんは。この度、文部科学大臣および教育未来創造担当大臣を拝命いたしました永岡桂子でございます。文部科学省が担当いたします、教育、科学技術、学術、スポーツ、文化芸術、それぞれの分野の課題に向き合いまして、文部科学行政を進めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今年は、学制150年を迎える年でございます。また、来年の文化庁の京都移転を控えるという重要な局面でございますので、文部科学大臣を拝命したその職責をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

 その上で、旧統一教会との関係につきましては、岸田総理から国民の皆さま方の疑念を払拭(ふっしょく)するため、個々の政治家としての責任におきまして、点検をし、そして厳正に見直すようご指示をいただきました。私について申し上げますと、私の知る限り、秘書も含めてでございますが、この団体との関係はないということをこの際明確に申し上げておきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

――特に意識している政策課題、力を入れてアプローチしたい問題は。

永岡文科相 文部科学省が担当します教育、科学技術、学術、そしてスポーツ、文化というこの行政分野は、本当にどれをとりましてもわが国のこれからの未来を切り開く重要な行政分野であると考えております。平成30年に副大臣をさせていただきまして、その時には、科学技術と文化の担当をさせていただきました。

 今回は大臣といたしまして就任させていただきましたので、岸田(文雄)総理からいただきましたご指示、これをしっかり踏まえまして、4分野全てにおいて、しっかりと政策を推進してまいりたいと考えております。

 まずは現状、課題、これをしっかり把握しないといけないと考えております。個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、教員の指導・研修体制の充実と働き方改革の推進、教育未来創造会議の第1次提言の確実な実行、そして各教育段階での負担軽減による学びの保障、わが国全体の研究力の向上に向けた環境整備、休日の部活動の地域移行の推進、そして佐渡金山の世界文化遺産への推薦・登録。これらに取り組んでまいりたいと思っております。

 着任後はさまざまな現場に赴き、多様な声をしっかりと受け止めた上で、文部科学行政を通じて、国民の皆さまが夢と希望を持って、それを実現できる世の中を作ってまいりたいと思っております。

――いじめ問題への対応について。

永岡文科相 いじめは、もう本当に決して許してはいけない、許されない行為だと思っております。いじめによって子供たちが本当に深く傷つくということがありますので、それがあってはならないわけです。学校の現場におきまして、いじめ防止対策推進法などに基づきまして対応がなされるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

――校則と子供の意見表明権について。

永岡文科相 校則というのは社会の常識や時代の変化などを踏まえて、絶えず積極的に見直していくことが重要であると考えております。

 私の時代にはなかったルーズソックスが、私の子供の時代にあって、私はお母さんの立場からではあったけれども、「かわいいよね」と実は思っていたのですが、学校ではだめだと言われまして。「学校の言う通りにしなきゃいけないよね」という話も(子供と)したことがあったかと思っております。

 しかしながらそれは時代の変化を踏まえてのことで、積極的に絶えず見直しということだと思っております。校則が児童生徒のよりよい成長のための行動の指針として機能するように、校則の意義を本当に見直すことの必要性というのも周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

 子供の意見表明権でございますが、こども基本法の解釈などにつきましては、こども家庭庁の準備室にお問い合わせいただければと思っております。

 文部科学省としましては、児童生徒が校則の見直しを通じまして、身近な課題を自ら解決をすることは教育的な意義を有することと考えております。その必要性などについても周知を徹底していきたいと考えております。

――岸田改造内閣で女性閣僚が2人となったことについて。

永岡文科相 確かに2人、高市(早苗)大臣と私の2人でございます。多い、少ないというのは人数というわけではなくて、女性が何人いればいいかということではなくて、やはりその任に適した方が、女性だった男性だったというような判断が適切なのではないかと思っております。

――こども家庭庁との連携、教育と福祉の連携について。

永岡文科相 こども家庭庁の関連法が今年6月に公布され、来年4月にこども家庭庁が設置されることになりました。私も衆議院内閣委員会の一員として、(法案審議に)参加させていただきました。

 児童虐待であるとか、いじめ、それから貧困、そして少子化対策など、子供を巡る課題というのは複雑で多岐にわたりまして、対応していく上で本当に大変だと思います。そのところで、こども家庭庁が司令塔として設置されることによって、大きな意義があることだと思います。本当に司令塔としての意義は大きいと思っております。

 そんな中で、文部科学省としては良き相談相手が、パートナーができたと、そういう感じがいたしますので、しっかりとこども家庭庁と連携させていただき、政策を進めていきたいと考えております。

 また、こども家庭庁の設置後も、教育については文部科学省が責任を持って、その充実を図ることにしております。また教育の一貫性、継続性というものが、それで保たれるのかなと思っております。それと福祉との連携ですね。しっかりとしなければいけませんので、その充実を図りながら施策に取り組んでまいりたいと考えております。

 内閣官房に設置されます、こども家庭庁の準備室では、実は来年4月のこども家庭庁の発足を待たずに、就学前の子供の育ちに関する指針や、子供の居場所作りに関する指針の策定などの取り組みを、もうすでに、文部科学省ともども始めているところでございます。ぜひ、積極的に連携し、協力を進めるということでがんばってまいりたいと思っております。

――久しぶりの女性文科相となったことについて。

永岡文科相 文部科学省はずっと男性の大臣できておりますが、だいぶ以前にも女性の大臣がいらっしゃいました。そんな中では久しぶりの女性の大臣ということで、母親の視点、またおばあちゃんの視点、これをしっかりと行政に政策を落としていきたいと考えております。

 児童生徒というのは、発達段階におきまして、男女の平等ですとか、男女の相互理解とか、あとは協力の重要性というものを非常に重要視しなければいけないと考えておりますので、そういう点では特に女性の視点というのが大切になってくるかなと思っております。

 あとは個々、それぞれの事柄で、お母さんの視点も重要なのかなと。ちょっと具体的に言えなくて大変申し訳ないのですが、気がつきましたら今度はしっかりメモをとっておきますので、よろしくお願いします。

――末松前文科相が永岡文科相への期待として、理系分野のジェンダーギャップ解消を挙げたことについて。

永岡文科相 申し訳ございません、末松大臣がどのようなお話をしたかというのは、ちょっと私も仕入れておりません。しかしながらしっかりと引き継ぎをさせていただきますので、その上で私なりの考え方などを改めてお示ししたいと思っております。

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