性自認や性的指向が多様となる中、教育関係者にLGBTQ+の子どもやユース、支援に取り組む団体との交流を深め、理解につなげてもらおうと、LGBTQ+に関する相談や情報発信を行う任意団体「プライドハウス東京」は、8月20、21日の2日間、東京都墨田区のKFC Hall & Roomsで「LGBTQ+ユースカンファレンス」を開く。期間中はLGTBQ+の研究を行う大学教授の講演や、当事者らによるパネルディスカッションが行われる。開催に先立ち、18日に文科省で行われた記者会見で、自身もトランスジェンダーである同団体の小野アンリさんは「LGBT教育についての学校や地域の取り組みには差がある。全国のどこで育っても当事者が安心安全に過ごせる環境になるきっかけになってほしい」とイベントの意義を話した。
1日目はLGBTQ+を対象にした調査研究を25年にわたって行っている宝塚大学看護学部の日高庸晴教授が「データから見るLGBTQ+ユースの今」と題し、基調講演を行う。このほか、日高教授をパネリストに、各地でLGBT教育の講演活動を行っている熊本市立千原台高校の南弘一校長や、勤務先の中学校で服装規定や学校行事の見直しといった、LGBTQ+の生徒が過ごしやすい学校づくりに取り組んでいる角沖悠花養護教諭らが、LGBT教育について意見を交わす。
2日目に行われるトークセッションでは、トランスジェンダー女性の視点から見た学校現場での性別対応をテーマに、トランスジェンダーの高校教員として、「セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク」の副代表も務める土肥いつきさんやトランスジェンダー学生の保護者らが考えを述べる。
イベントの一部はオンラインでも閲覧可能。事前の申し込みが必要で、専用フォームから申し込める。
小野さんは、教員もLGBTQ+について学ぶ機会が増えたことで、かつてのような著しい偏見は減ってきているとした上で、「制服の選択や性の多様性についての授業などは、全ての学校が必ずしも取り組まなくてもいいのが現状。当事者が全国どこでも同じ環境で生活できる状況ではない」と訴えた。
プライドハウス東京は、LGBTQ+に関するNPO法人や一般財団法人などが集まった任意団体。東京2020⼤会の「公認プログラム」として2020年10⽉に、LGBTQ+当事者のコミュニティセンター「プライドハウス東京レガシー」を東京都新宿区にオープンした。大会終了後も、13~24歳のLGBTQ+当事者やそうかも知れないと感じている人々に対する相談事業や居場所づくりといった取り組みを行っている。