小児の接種「努力義務」 加藤厚労相「しっかりと周知」

小児の接種「努力義務」 加藤厚労相「しっかりと周知」
衆院厚労委の閉会中審査で答弁する加藤厚労相(衆議院インターネット審議中継から)
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 新型コロナウイルス感染症対策で、厚労省の専門家会議が5歳から11歳の子供のワクチン接種を予防接種法上の「努力義務」としたことについて、加藤勝信厚労相は8月19日に開かれた衆院厚労委の閉会中審査で、「小児の感染状況や新たな有効性、安全性のエビデンスを考慮しながら、本人や保護者が接種の趣旨を踏まえた上で、安心して接種が受けられるようワクチンの有効性、安全性も含めてしっかりと丁寧に周知を図っていきたいと考えている」と小児のワクチン接種を推進していく考えを述べた。阿部知子議員(立憲民主)の質問に答えた。

 小児の新型コロナウイルス感染については、当初は重症化の割合は少ないとされていたが、オミクロン株の流行に伴い、第6波以降は感染者全体に占める小児の割合が高くなるとともに重症化例も増加してきた。そのため、5歳から11歳までのワクチン接種は3月から希望者に対して開始していたが、厚労省の専門家会議は、これを子供や保護者に強制ではなく強く求める「努力義務」とした。早ければ9月から適用となる。

 日本小児科学会も8月10日、5歳から17歳の健康な小児へのワクチン接種は「意義がある」という表現から「推奨」という表現に変更している。その理由として、小児における新型コロナウイルスの重症化予防に寄与することが確認され、メリット(発症予防や重症化予防)がデメリット(副反応)を大きく上回ると判断したことを挙げている。首相官邸ホームページによると、これまでに2回の接種を終えた小児は18.8%に上る。

 この問題に関しては、永岡桂子文科相も8月15日の閣議後会見で、「ワクチンを打つか打たないかを決めるのは、親御さんであり、子供本人と考えている」と述べ、厚労省と連携して保護者などへの情報提供に取り組んでいく考えを示している。文科省では、すでに12歳以上の子供について、接種は強制ではなく子供本人や保護者の判断が尊重されるべきだとした上で、ワクチンの効果や副反応、相談先の情報などを周知することが重要として学校現場に協力を求めている。

 また、阿部議員から小児に対する診療体制の充実を求められた加藤厚労相は「小児に対しては当然しっかり対応していかなければならないし、特に発熱外来の中で、小児に対応してもらえるところがどこかということを示していく必要があり、その公表を都道府県にお願いしている。入院についても受け入れをしていく、あるいは相談窓口をしっかり作っていくといった対応を、引き続き取っていきたい」と述べた。

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