学級閉鎖の判断基準を見直し、ガイドラインを改定 文科省

学級閉鎖の判断基準を見直し、ガイドラインを改定 文科省
iStock.com/Aleksei Naumov
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 新型コロナウイルスの第7波による感染拡大が続く中、文科省は8月19日、学級閉鎖の判断基準について、「同一の学級で、複数の児童生徒の感染が確認された場合でも、それら児童生徒の間で感染経路に関連がなかったり、学級内の他の児童生徒に感染が広がっている恐れがない場合には、学級閉鎖を行わないことも考えられる」とするガイドラインの改定を行い、都道府県・政令市の教育委員会などに周知した。これまでは同一の学級で複数の感染が判明した場合には学級閉鎖にするようにガイドラインで示してきたが、学級内における感染拡大が起きていなければ、学級閉鎖を行う必要はないとの判断基準を明確にした。

 文科省は、学校の新型コロナウイルス対策に関連し、8月19日付で2つの事務連絡を発出した。一つは、学校で児童生徒や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインの改定。もう一つは、ガイドラインの改定を含めて学校における夏休み明けの新型コロナ対策の留意事項を説明した内容となっている。

 学校で児童生徒や教職員の感染が確認された場合の対応ガイドラインでは、学校が学級閉鎖や臨時休校などを行う判断基準を改定した。学級閉鎖については、①同一の学級において複数の児童生徒等の感染が判明した場合②感染が確認された者が1人であっても、周囲に未診断の風邪等の症状を有する者が複数いる場合③その他、設置者で必要と判断した場合--という、これまでの説明をそのまま維持した。

 その上で、①で「『複数」としている趣旨は、人数に着目したものではなく、学級内における感染拡大を防止する観点である」と説明し、「同一の学級において、複数の児童生徒等の感染が確認された場合であっても、その児童生徒等の間で感染経路に関連がない場合やそのほか学級内の他の児童生徒等に感染が広がっている恐れがない場合については、学級閉鎖を行う必要はない」と追記した。

 この狙いについて、文科省では「学級内で一人の児童生徒から別の児童生徒への感染拡大が起きていなければ、複数の感染者が確認されていても、学級内に感染拡大が起きているとは言えない。その場合は、学級閉鎖を行う必要はない、ということを明確にした」(初等中等教育局健康教育・食育課)と説明している。学年閉鎖や学校全体の臨時休校を判断する場合でも、学校内で感染拡大が起きているかどうかが判断基準となり、例えば、複数の学級や学年が閉鎖されている場合でも、学校内で感染拡大が起きていなければ学年閉鎖や学校全体の臨時休校を行う必要はないとの考え方だとしている。

 また、今回改定されたガイドラインでは、厚労省が、濃厚接触者の特定について、自治体の判断によって高齢者施設などハイリスク施設に重点化することが可能としたことを受け、児童生徒や教職員に対する濃厚接触者の特定が行われないケースも想定されることから、感染動向を見極めるために行う初期対応としての学級閉鎖や臨時休校などは、基本的に行う必要はない、との考え方を改めて示した。

 学校における夏休み明けの新型コロナ対策の留意事項を説明した事務連絡では、授業の開始に備えて▽学校の施設・設備や教職員・児童生徒が使用する器具・用具などの点検▽家庭との連携も含めて、児童生徒の日常的な健康観察や感染が確認された場合の対応に関するマニュアルの確認▽授業や学校行事など、活動場面ごとの状況に応じた感染対策上の工夫の検討--など、地域の感染状況に応じて必要な感染症対策に取り組むよう求めている。また、夏休み期間中に文科省が発出した新型コロナウイルス感染症対策関係の事務連絡についても、改めて確認するよう促した。

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