8月3日からの大雨や台風により被災した公立学校施設の早期復旧を図るため、文科省は19日、被害のあった12道県の各教育委員会に向けて、事務連絡を発出した。国の現地調査を待たずに事前着工が可能な、国庫補助申請を行う災害復旧事業について、留意する事項を伝えた。
降雨や暴風などの自然災害で生じた公立学校の復旧については、早急に施設を元に戻し、学校教育を円滑に実施するため、必要な経費の3分の2(離島は5分の4、降灰除去は2分の1)まで補助が受けられる。今回、事務連絡を発出した道県は▽北海道▽青森県▽岩手県▽秋田県▽山形県▽福島県▽千葉県▽新潟県▽富山県▽石川県▽三重県▽山口県――の12道県。事務連絡では調査前の着工と応急処置の2点について留意事項を明記した。
調査前の着工については、事前に文科省へ事前着工届を提出し、その際に着工に関連する場所の図面と写真を添付することや、事実確認のための資料にするため、被災範囲、数量、規格などが確認できるよう、明瞭な被災写真や動画を撮影し、可能な限り被害状況全体の把握に努めることなどを求めた。また事前着工届の提出により、直ちに国庫負担することを承認したものではないことも併せて記した。
応急処置の実施については、児童生徒の安全確保や教育環境の回復のために実施する場合は、後に行う復旧工事の全部もしくは一部として、国庫補助の対象とすることができるとして、工法などに注意することを求めた。
文科省の取りまとめによると、3日からの大雨や台風で、床上浸水や土砂流入など物的な被害を受けた学校は22日午前10時30分現在で、▽幼稚園4園▽小学校17校▽中学校6校▽高校11校▽特別支援学校3校▽大学など10校――の計51校に上った。都道府県別にみると、▽新潟9校▽石川7校▽山形、福島各5校▽岩手、北海道各4校▽青森、千葉、富山各3校▽秋田2校▽福井、三重、兵庫、岡山、山口、佐賀各1校。また新潟県の小学校1校が避難所となっている。