「学校群」に予算や人事の裁量 堺市教委が構想を紹介

「学校群」に予算や人事の裁量 堺市教委が構想を紹介
オンラインで行われた第6回会合(YouTubeで取材)
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 これからの教育委員会の在り方などを議論している文科省の調査研究協力者会議は8月22日、第6回会合を開き、堺市教委の日渡円教育長にヒアリングを行った。個別最適な学び・協働的な学びにつながる授業やカリキュラムの改善を目的として、複数の小中学校でつくる「学校群」をベースとしたマネジメントを行う構想が紹介され、教育行政の持つ人事や予算の権限を各学校群に拡大する案も語られた。

 日渡教育長は「地方は自らの役割や自らのシステムづくりではなく、国が示す方針にあまりにも興味を持ち過ぎており、国の施策を実現するための優等生であろうとしている。国の施策と堺市の抱える課題は微妙にずれているが、どちらかといえば国のメッセージが強く、学校は国の課題が全てだと思っている節がある」と現状の問題意識を語った。

 その上で構想された同市の「学校群」は、中学校1校・小学校2~3校からなる小中一貫教育体制。人員や予算が限られる中でも、複数校でグループを作ることで、子供たちの実態に即した柔軟な教育体制や、施設の有効活用を目指す。

 日渡教育長は「長い間、全ての学校に音楽室を作ることが重要だという考え方だったが、(学校群の考え方では)『音楽(の授業)はあそこ(の校舎)でやろう』となる」と導入後のイメージを説明。今年度から3学校群程度でモデル事業を行い、その実態を踏まえて2025年度の本格導入を目指すという。

 同時に、各学校群に全体を統括するCEO(Chief Executive Officer、最高経営責任者)のような役割のほか、予算やカリキュラムを管理する役職などを置く案を紹介。合わせて、複数の学校からなる学校群を統括できるような、一段高いマネジメント能力を持つ人材を育成するための研修プログラム開発を行っていることも明かし、「学校群に対して、人事や予算の権限を拡大するような制度設計を進める」とした。

 委員からは「学校群の発想は、今後を考えた時に非常に重要な問題提起だ」「各学校にフルスペックでいろいろなものが必要だという意識を変えていくのは難しいのでは」といった反応があった。

 日渡教育長は「学校の分掌の在り方もがらりと変わっていくし、教育委員会も従来の学校を支援する姿から、新しい学校に対する教育委員会の在り方へと、数年後にはがらりと変わっていくのではないか」と見通しを語った。

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