4月1日時点での保育所の待機児童数が4年連続で過去最少を更新したことが8月30日、厚労省が公表した調査結果で明らかとなった。同省ではこの背景として、保育の受け皿拡大に加え、就学前人口の減少や新型コロナウイルスの感染リスクを懸念した利用控えなどがあるとみている。
調査結果によると、待機児童数は2944人で、前年同期と比べて2690人減少。85.5%に相当する1489市区町村で待機児童がいなかった。待機児童がいる市区町村は252市区町村で、鹿児島市、千葉県八千代市、兵庫県明石市の3市については、待機児童が100人以上だった。
保育所などの施設は3万9244カ所(前年同期比578カ所増)で、利用定員も304万4399人(同2万7481人増)となり、保育の受け皿が増えた一方、保育所などを利用する児童数は272万9899人(同1万2172人減)となった。
待機児童数が前年から減少した自治体に、厚労省がその要因をアンケートで聞いたところ、「受け皿の拡大」(66.4%)のほか、「申込者数が想定ほど増えなかった、または想定以上に減少した」(34.5%)が多く、申込者数が下回った理由では、就学前人口の想定以上の減少のほか、コロナ禍による利用減や育休延長などが多くあがった。
同省では、今回の調査では保育ニーズが減少したものの、女性の就業率の上昇傾向などを受け、保育ニーズが再び増加する可能性があるとして、今後の推移を注視しつつ、昨年度からスタートした「新子育て安心プラン」に基づく待機児童解消のための取り組みを推進していく方針。
待機児童数が過去最少になったことについて、小倉将信こども政策担当相は8月30日の閣議後の記者会見で「待機児童がもうすでにいないような自治体も多数に上っており、そういった受け皿を生かし、保育士や保育所の子育て支援のノウハウをさらに生かしつつ、例えばご家庭でお子さんを育てていらっしゃる親御さんの支援、保育所の多機能化などを進めていただけるものと承知している。こうした取り組みを来年以降、こども家庭庁が引き継ぐことになるかと思うので、そういったものをしっかり引き継いで、引き続き対応していきたい」と述べた。