教師の引き出しで体育を面白く サッカーを通じた研修会

教師の引き出しで体育を面白く サッカーを通じた研修会
新聞紙で作ったボールを使ったドリブルの練習
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 小学校の教員に体育の指導でサッカーを生かしてもらおうと、日本サッカー協会(JFA)が取り組んでいる「JFA小学校体育サポート研修会」が人気を集めている。教員研修の一環でこのほど実施した埼玉県三郷市立瑞木小学校(山口清孝校長、児童376人)では、JFAの小学校体育サポートインストラクターで、石川県の小学校教員でもある北野孝一教諭が、さまざまな工夫を取り入れながら、ボールを怖がらずに楽しく、面白くできる活動を紹介。同小の教員らも実際に体を動かしながら、明日の授業から応用できる多くの「引き出し」を見つけていた。

 体育館に集まった教員らは最初、じゃんけんや「だるまさんが転んだ」など、子どもたちにもなじみのある遊びを基に、体を動かしながら、授業への意欲を高めたり、集団づくりに生かせたりする活動を体験。北野教諭は、例えば、じゃんけんでも利き手とは逆の手でやったり、「だるまさんが転んだ」の距離を伸ばしたりなど、ちょっとした工夫を加えることで、発達段階やクラスの状況に合わせた活動にアレンジできることをアドバイス。

 次に、教員らは新聞紙を丸めてビニールで包んだボールを作った上で、先頭の人のドリブルについていく練習に挑戦。体育館のライン上を移動しながら、他の人にぶつからないように意識させることで、子どもたちは自然とドリブルをしながらでも前を見るようになるという。

 その後に行われた、ボールを高く上げている間に手をたたき、またボールをキャッチする活動では、最初にあえて手をたたく回数を教員側が指示せず、2回目のときに「最初よりも1回多く手をたたく」と指示を出すことで、個々人のレベルに応じて目標を設定できることを紹介。うまくできた子がどんな工夫をしたかを発表させたり、その動きを他の子に観察させたりすることを取り入れつつ、教師が運動を分析する意識を持つことの重要性を解説していた。

 さらに、ライン上に横にしか動けないディフェンスをかいくぐる「川渡り鬼ごっこ」や2チームに分かれて、教師が言った数に応じた人数が各チームから飛び出して行うミニゲームを経て、最後に体育の授業づくりにおけるポイントを講義で確認して研修は終了。

 教員になって2年目で、6年生を担任している亀田綾音教諭は「体育もサッカーも苦手意識があったが、今日の研修はすごく楽しくて、冬にやるサッカーの授業が待ち遠しい。今日学んだことは、体育の授業だけでなく、朝の学級活動などでも生かせそうだ。引き出しがたくさん増えた」と、多くの気付きを得ていた。

活動のポイントをアドバイスする小学校体育サポートインストラクターの北野教諭
活動のポイントをアドバイスする小学校体育サポートインストラクターの北野教諭

 講師を務めた北野教諭は「体育の授業では、最後のまとめに向けて、そのための活動や準備を逆算で組み立てていくことがポイントだ。教師が引き出しを多く持つことで、難易度を調整でき、ボール運動が得意な子も苦手な子も、両方の学びになるような課題を設定できる。サッカーの指導ができるようになるのが研修の目的ではなく、JFAが持っている指導の考え方を伝えていきたい」と強調する。

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