安倍元首相の国葬、学校などへ弔意表明求めず 永岡文科相

安倍元首相の国葬、学校などへ弔意表明求めず 永岡文科相
安倍元首相の国葬について、関係機関に弔意表明を要請しないと話す永岡文科相
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 9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬に関して、永岡桂子文科相は8月30日の閣議後会見で、「国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないように、関係機関に弔意表明の協力の要望を行うことはない」と述べ、都道府県・政令市の教育委員会や国立大学などに弔意表明を求める通知を出さない考えを表明した。

 安倍元首相の国葬については、松野博一官房長官も26日の記者会見で、「国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、国において閣議決定は行わず、地方公共団体や教委等の関係機関に対する弔意表明の協力の要望も行う予定はない」と述べている。文科省法令審議室は各教委などに弔意表明の要請を行わないことについて、「閣議了解を行わないという決定を受けての判断。根拠になるものがない以上、文科省から要請することはない」と説明した。

 1967年の吉田茂元首相の国葬や2020年に行われた故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬などでは、哀悼の意を示すための閣議了解が行われていた。中曽根元首相の合同葬の際は、文科省も閣議了解を受け、全国の国立大学や教委などに弔意の表明に対する協力、弔旗掲揚や黙とうの時刻を指定するといった表明方法を記した文書を通知した。安倍元首相の国葬に関しても政府は当初、弔意表明や弔旗掲揚を求める閣議了解を行うことを検討していた。

 参院選の街頭演説中に銃撃されて亡くなった安倍元首相の葬儀を巡っては、7月に家族葬が行われた際に、いくつかの教委が、学校に対して半旗掲揚の要請を行ったことが分かっている。

 北海道帯広市教委は、安倍元首相の葬儀に合わせ、市立小中学校などの40校に半旗掲揚を要請した。同市教委によると、北海道庁から「道庁で半旗掲揚を行う」という連絡を受けた同市が、「公共施設でも可能な限り、半旗掲揚をお願いする」と同市教委に伝えた。これを受け、同市教委が電話で市立小中学校に半旗掲揚を依頼したという。同市教委は「急な出来事で、イレギュラーな対応だった。あくまで“お願い”であり、強制するものではなかった」とした上で、国葬の際の弔意表明については、「まだ明言できない。北海道庁の対応も見ながら判断したい」とした。

 7月の家族葬の際には、仙台市や大阪府吹田市の教委も学校に半旗掲揚を要請したが、国葬への対応については「現段階では何も決まっていない」と話している。

 安倍元首相の国葬は9月27日、東京都千代田区の日本武道館で行われる。松野官房長官は26日の会見で、国葬の費用が約2億4900万円になることを明らかにした。今年度予算から国会審議を経ないで政府が使い道を決められる「予備費」が充てられる。政府は中曽根元首相の合同葬の10倍となる最大6000人規模の参列者を想定しており、松野官房長官は、「海外から首脳級を含む多数の要人の参列も見込まれるため、警備員や金属探知機の配置など、万全の警備体制を敷く必要がある」と述べた。また、日本武道館とは別の場所に、一般の人たちに向けた献花台を設置する。

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