精神疾患による休職減へ 教職員ケアのプロジェクト発足

精神疾患による休職減へ 教職員ケアのプロジェクト発足
教職員メンタルヘルスケアプロジェクトを立ち上げたメンバー(左から西本教授、刀禰社長、藤川理事長:メンタルヘルステクノロジーズ提供)
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 全国の教職員の心の健康を守ることで、子どもたちのよりよい教育環境の提供につなげようと、産業医などによる役務提供サービスと従業員の心身の健康に関するクラウド型サービスを提供するメンタルヘルステクノロジーズ(東京都港区、刀禰真之介代表取締役社長)は、小川正人東京大学名誉教授らとともに「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」を8月29日に発足させた。同プロジェクトの担当者は「教員のメンタルヘルスについての実態調査やシンポジウムを通じ、施策を講じる重要性を発信していく」としている。

 小川教授は中教審の「学校における働き方改革特別部会」で部会長を務めた。このほかにプロジェクトメンバーとして、▽琉球大学教育学部 西本裕輝教授▽NPO法人「共育の杜」 藤川伸治理事長――が参加している。

 文科省の2020年度「公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、公立学校教員の精神疾患による病気休職者は21年度で5180人。20年に比べて298人減少したものの、10年以上、横ばいの状態が続いている。

 プロジェクトの担当者は設立の背景について、「民間企業で確立している効果的なメンタルヘルス対策を実施している教育委員会は全国に数例しかない。教職員のメンタルヘルスの悪化は当事者のみに限らず、子どもにも悪影響を及ぼすという調査結果もあり、対策は急務」と述べた。

 プロジェクトのミッションとして、▽教職員にとって“働きやすい環境”をつくることが、健全な学校運営や子どものためになるということへの社会的な理解の促進▽休職率が高い都道府県の要因調査と、調査結果に伴う具体的なメンタルヘルス対策の立案と実行、効果検証▽厚労省がメンタルヘルスケアの手法として指針で示している「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアを推進し、学校現場でのメンタルヘルスに対するリテラシーの向上を促す――を掲げた。

 文科省の調査によると、教職員の精神疾患による病気休職者率は沖縄県が14年連続で全国1位となっている。同プロジェクトの担当者は「沖縄を皮切りにメンタルヘルス対策事業を実現させ、高止まりが続いている全国の都道府県に広げていきたい」と述べた。

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