福岡市が勤務間インターバルを導入 教員も対象、全国初

福岡市が勤務間インターバルを導入 教員も対象、全国初
教員を含めた市職員の勤務間インターバル導入の狙いを説明する髙島市長(ワーク・ライフバランス提供)
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 職員の生産性を向上させるため、福岡市は9月1日、企業や学校の働き方改革を支援する㈱ワーク・ライフバランスと連携し、教員を含む職員について、勤務終了から次の勤務開始まで11時間を空ける「勤務間インターバル」を導入すると発表した。自治体で同社の提唱する勤務間インターバル宣言に賛同するのは全国初。合わせて、男性職員の育児休業取得率100%も目指す。

 勤務間インターバルとは、勤務と次の勤務まで、十分に休息する時間を確保する制度で、EUなどでも導入されているほか、日本でも2019年に施行された働き方改革関連法で事業主に対して導入が努力義務化されている。

 「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」を掲げる福岡市では、市民がウェルビーイングを実感できる取り組みの一環として、率先して市職員のウェルビーイングの向上を目指すため、災害対策を除く全ての業務で11時間の勤務間インターバルを確保し、男性職員の育児休業取得率100%に取り組むことを決めた。

 市立学校に勤務する教員も対象で、勤務間インターバルの実施や子どもと向き合う時間の確保に向けて、部活動指導員の増員やデジタル採点システムの導入など、ソフト・ハードの両面から働き方改革を促進する。

 この日、オンラインで記者会見に出席したワーク・ライフバランスの小室淑恵代表取締役社長は、勤務間インターバルの重要性について、日本の労働者は世界的にみても睡眠時間が短く、労働生産性も低いと指摘。睡眠不足の上司ほど、部下に侮辱的な言葉を使う傾向にあるとする研究成果を紹介した上で、「このことを学校にたとえたら、部下は生徒に当たる。睡眠不足の先生をそのままにしていていいのだろうか。ストレスが高いままだとその先生の資質ではなく睡眠不足のせいで、自我消耗で自分をコントロールできなくなって、子どもたちの置かれている環境が悪化してしまう。日常的に侮辱的なことや虐待的なことが起きるようになってしまう。それを救っていくためには先生の働き方改革、先生の睡眠の意識がすごく大切になる」と、この取り組みが子どものためにもなることを強調した。

 福岡市の髙島宗一郎市長は「教員になりたいという人が不足している。教員のなり手不足の大きな原因は、長時間勤務にあると思っている。これに大きく関わっているのは部活動だ。福岡市でも外部から部活動指導員に来てもらっているが、こうした制度を活用しながら、(勤務間)インターバルを教員もしっかりと取れるように検討していきたい」と述べ、学校の働き方改革に意欲を示した。

 教員の勤務間インターバルの導入を巡っては、改正給特法の附帯決議でも、導入に努めることが明記されている。

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