仮想空間で不登校児童生徒を支援 10月から熊本市が実証事業

仮想空間で不登校児童生徒を支援 10月から熊本市が実証事業
iStock.com/elenabs
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 熊本市教委は9月2日までに、インターネット上の仮想空間を活用し、不登校など登校が難しい児童生徒の学習などをサポートする事業を、早ければ10月からスタートすることを決めた。同市教委では昨年9月に不登校児童生徒へのオンライン学習支援「フレンドリーオンライン」をスタートさせているが、今回の事業はそれをさらにバージョンアップさせるものだという。

 「フレンドリーオンライン」は児童生徒がGIGA端末を活用して、配信拠点校の教職員による学習支援や課外学習などに自宅からZoomなどで参加しており、現在も100人以上が利用している。今回の実証事業においても、児童生徒はこれまで同様にGIGA端末を活用し、ニックネームやアイコンを設定して、自宅で仮想空間上の学校に登校する。

 仮想空間には各教室やカウンセリング室などがあり、アイコンを操作して教室に入ってオンライン授業を受けたり、教員や他の児童生徒と音声やチャットで会話したりできる。市教委の担当者は「これまでのようにZoomを出たり入ったりする必要はなく、仮想空間内に入りっぱなしで部屋を移動するだけで授業を受けたり、おしゃべりしたりすることができる」と、利便性の向上もメリットとして挙げた。

 また、同担当者は「これまでのフレンドリーオンラインでは、画面上では他の子どもたちは見えないので、実際には自分以外にも参加している子がいても、教員と1対1で学習しているような感覚だった」と説明。参加している子どもたちは、コミュニケーションに課題を感じている子も多く、「みんなで一緒に学習している雰囲気を感じてほしいと思い、仮想空間を活用した形にバージョンアップさせようと考えた。仮想空間で自分のアイコンを操作することで、コミュニケーションに対する抵抗感などを少しでも下げられたら」と期待を込める。

 同事業は文科省の「次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進事業」として行われる。事業スタート後は企業や熊本大学、熊本県立大学などとも連携し、オンライン授業を受けることによって学習意欲や自己肯定感に変化があるのかなど、得られたデータをもとに子どもたちの傾向などを分析していくという。

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