高校生がECサイトで地域経済を活性化――。千葉県船橋市立船橋高校(津田亘彦校長、生徒1201人)では今年度から、ECサイトの「メルカリShops」を運営しているソウゾウと連携し、商業科の生徒が市内の企業や商店に出向き、「メルカリShops」への出店をコンサルテーションする授業を実施している。9月6日には、その最初の事例となる地元の老舗呉服店のページがオープン。生徒らは手拭いに特化した販売戦略を描く。同高では今後、第2期として市内の他の事業者でも同様の取り組みを展開していく予定。
この授業は、船橋市と同社が連携協定を結んだことをきっかけに、今年度に「マーケティング」と「ビジネス経済」を選択している商業科2年生の生徒21人が取り組むことになった。ECショップの初出店にあたり、あいさつした船橋市の松戸徹市長は「新しい世代の市船(地元での同高の愛称)の生徒たちとコラボをしてEC化が進むということは、これからの街の経済の発展にとても大きな影響を持っている。市船の生徒たちが、自分が通っている船橋市、住んでいる船橋市のお店にはこんなものがあって、どうやって他の人たちにいいものがあることを知らせようかと考えている。そういう人を育てるのは、次の経済効果をもたらすことにもなる」と期待を寄せた。
5月からスタートした授業では、生徒は同社からECショップを立ち上げる際に必要な知識やネット販売の注意事項などを学んだ後、最初に出店を予定していた森田呉服店を訪れ、取り扱っている商品などを調査。それを踏まえ、効果的な販売方法を店側にプレゼンテーションし、ECショップの開設に向けた準備を進めてきた。
出店にあたって生徒は、若い人にも受け入れられるデザインやオリジナル商品など、豊富な種類が取りそろえられている手拭いに着目。これらをセットで販売していくことや、SNSなどを活用して若い世代に手拭いの魅力を発信していく戦略を立てた。
出店作業を担当した紺野京太郎さんは「最初は呉服店と聞いて『本当に売れるのかな』と不安もあったが、手拭いはいろいろな種類があって、これならECショップで売れるんじゃないかと思った。在庫がなくなるくらい売りたい。若い人にも買ってもらいたいし、将来的には英語の説明も加えて、海外の人にも興味を持ってもらえたら」と意気込む。
授業を担当している同高商業科長の海上雄大(うながみ・ゆうた)教諭は「本校ではこれまでも地元の企業と連携して商品開発などに取り組んできたが、ECサイトはこれまでの取り組みとスピード感が違うので、今の生徒には合っているようにも思う。ただ、情報発信の際に間違いがないかなど、気を付けなければいけない部分もある」と話す。
同社では現在、全国各地の高校と連携してECサイトを利用したさまざまな教育活動を実施しているが、事業者のECショップを高校生がコンサルテーションするのはこれが初めてだという。同高では今後、さらに市内の他の事業者に対して、生徒がグループに分かれてECショップの立ち上げを支援。年内には生徒がコンサルテーションしたECショップがさらに誕生することになる。