プロジェクションマッピングと身体を使い表現活動 小学校で特別授業

プロジェクションマッピングと身体を使い表現活動 小学校で特別授業
映し出されるプログラミング作品に合わせて子どもたちはランウェイを歩いた
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 東京都新宿区立富久小学校(井口美由紀校長、児童277人)でこのほど、振付家のストウミキコさんらによる「カラダが材料!〜音・映像・カラダでアート〜」の授業が行われた。子どもたちは、自分たちがプログラミングソフト「Viscuit」(ビスケット)で作成したプロジェクションマッピングの映像に合わせて、体育館に設けられたランウェイを歩き、自分の身体を材料にして思い思いに表現した。

 同授業は文化庁の「文化芸術による子供育成推進事業」の芸術家の派遣事業として、同校の3年生2クラスで行われた。同校の岩本紅葉教諭が、ストウさんが実施しているカラダを使ったワークショップと、児童のプログラミング作品をコラボレーションしたいと提案し、実現した。

 子どもたちはこの日までに、ワークショップのオープニングに流したい映像をビスケットで制作したり、大きな模造紙にローラーで絵を描いたランウェイを作成したり、Tシャツをカラーガムテープで装飾したオリジナル衣装を作成するなど、準備を重ねてきた。

 この日の授業は、スタッフのダンサーらの動きに合わせて、手を大きく振りながら後ろ向きで歩いたり、四つんばいで歩いてみたり、全身を使ったウォーミングアップからスタート。その後は、ダンサーに代わって子どもたちが動きを考え、体育館全体を使って思い思いに動いていく。身体を大きく動かしたり、その逆で動きを小さくしてみたり、子どもたちは次々と新しい動きを生み出していた。

 次に、ストウさんが「形のパズル」と呼んでいる造形遊びにチャレンジ。これは、一人が何かしらのポーズをとって止まると、次の人がそれに合わせた新たなポーズを表現していくというもの。例えば、身体全体でコの字のポーズをとった子に対し、次の子は両手でコの字をつくって合わせてみたり、両手を腰に当てて怒ったポーズをとった子に対して、次の子も同じ怒ったポーズで応えてみたり、子どもたちは「どんな形を合わせようかな?」と一瞬で考え、身体を動かしていった。

 ストウさんは子どもたちの様子を見ながら、「誰かと一緒に形をつくると、自分だけでは思い付かない動きも表現できたよね。相手を頼ったり、誰かを助けたり、自分一人でやろうとしなくてもいいんだよ」と優しく語り掛けていた。

 その間に、体育館には子どもたちが作成したランウェイが敷かれ、スポットライトが当たるステージが用意された。ストウさんは「普段、みんなは学習発表会とか、たくさん練習をしてやるよね? でも、今日のステージは練習なしで、いきなり本番だよ。今感じていることをカラダで表現しよう。みんなの存在そのものが作品だよ」と呼び掛けた。

 子どもたちはいきなりの本番に緊張した様子だったが、自分が作ったプロジェクションマッピングの映像に合わせてランウェイを歩き、思い思いのポーズをとったり、形のパズルで表現したりしていた。ランウェイでは恥ずかしそうに走っていく子や、ダイナミックな動きで表現する子など、さまざまだったが、ストウさんは「表現は大きければいいのではない。目立つ子もいれば、こっそりやる子もいる。いろいろあるから面白い」と話した。

 授業後も子どもたちは「もう一回やりたい」「形のパズルが面白かった」と興奮した様子。中には授業後の振り返りで「夢みたいで今もふわふわしている」と感想を書いた子もいた。岩本教諭は「スポットライトの当たるステージなど、非日常と出合うことで子どもの心が解放され、伸び伸びとカラダを動かして作品を生み出せていたのではないか」と振り返った。

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