「子どもの意見を聴く場をつくろう」 こどもの育ち有識者会議

「子どもの意見を聴く場をつくろう」 こどもの育ち有識者会議
「こどもかいぎ」について報告する豪田氏
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 内閣官房こども家庭庁設立準備室は9月20 日、「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会の第2回を、オンラインを交えて開いた。この日の会議では、公開中の映画『こどもかいぎ』監督の豪田トモ氏が、映画の舞台となった保育園での活動を例に、子どもたちの意見を聴くことの効果や影響について報告し、委員からは「子どもと対話する活動を取り入れる園が広がっていけば」と賛同の声が上がっていた。

 同有識者会議では、こども家庭庁が発足する2023年4月以降、速やかに指針の策定を進められるように、さまざまな角度から就学前教育・保育の内容や家庭における子育て支援、児童虐待の予防、施設と家庭・地域との連携強化、未就園児の支援などについて検討・整理するとしている。

 この日は、7月から公開中の映画『こどもかいぎ』監督の豪田氏が、子どもの意見を聴くことの重要性について報告した。同作は、子どもたちが「かいぎ」をするある保育園を1年間にわたって撮影したドキュメンタリー。映画の中では「どうして生まれてきたんだろう?」「ケンカしないようにするには、どうすればいいの?」など、先生がファシリテーター役となり、4歳から6歳の子どもたちが哲学的なことや答えのない問いを対話する様子が描かれている。

 豪田氏はこどもかいぎの主な3つの影響と効果として、「まず聴く力、理解力、思考力、自己肯定力など、子どもたちの個々への影響がある。そして子どもたちの環境が、和やかで過ごしやすいものになるし、子どもたちの中に仲間意識が芽生え、多様性を考えるスタートにもなる。また、今まで知らなかった子どもたちの世界や心の内、大人と子どもの相互理解が深まるなど、接する保育士や大人への影響も大きい」と話した。

 こどもかいぎに参加した子どもたちからの「自分と違う意見があることを初めて知って、楽しかった」「大人が自分たちの話をちゃんと聞いてくれることが、こんなに快感なんだと思わなかった」などの声も紹介。豪田氏は「今の社会が抱えている問題はほとんどがコミュニケーションや人間関係に関すること。自分の気持ちを言葉にするとか、相手に伝わるように伝えるとか、相手の話をしっかり聴くということを、小さいころから学んでいく必要があるのではないか」と訴え掛け、「こどもかいぎ」のような対話の場をあえてつくることを提案した。

 高祖常子委員(認定NPO児童虐待防止全国ネットワーク理事)は「こうした『こどもかいぎ』や『サークルタイム』のようなことは、園のカリキュラムがかっちり決まっていて、スケジュールに追い立てられているようでは取り組めないだろう。家庭の中でも広げていけたらいいが、難しい状況の家庭もあるので、子どもたちが通う園では、最初からこうした活動を組み込むようなカリキュラム作りを広げてほしい」と話した。

 また、大豆生田啓友座長代理(玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授)は「『こどもかいぎ』のような活動は、対話のマインドを培ってくれる。こうしたことが広がっていくことが、今回の指針においても大事になっていくのではないか」と指摘した。

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