教育におけるさまざまなジェンダーギャップが問題視される中、ユニセフ(国連児童基金)はこのほど、男子が数学的スキルを身に付ける確率は、女子の最大1.3倍になるとする報告書を公表した。その背景には、教師や親による「女子は生まれつき数学を理解できない」という否定的なジェンダー規範や固定観念があると指摘している。
公表された報告書『方程式を解く:数学を学ぶ子どもたちのために(原題:Solving the equation: Helping girls and boys learn mathematics)』では、高所得・高中所得の国や地域が参加しているOECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達度調査)やTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)、低所得、低中所得を中心にユニセフが行っている複数指標クラスター調査(MICS)のデータを使って、100以上の国・地域の数学的スキルの習熟度を分析した。
その結果、読書の成績は女子の方が男子よりも良い傾向にあったが、数学の成績は男子の方が女子よりも良い傾向にあり、男子は女子と比較して、基礎的な計算能力を持っている可能性が高いことが分かった。TIMSSとPISAのデータからは、最低限の数学のスキルを獲得している確率は、男子が女子の1.3倍になった。
また、報告書では数学的スキルの獲得の差はジェンダー以外に、家庭の経済力や就学前教育も要因になっていると指摘。新型コロナウイルスの感染拡大が子どもたちの数学的スキルの獲得に与える影響も懸念している。