校則見直しの取り組みを発表 ルールメイキングサミット開催

校則見直しの取り組みを発表 ルールメイキングサミット開催
会場で生徒の発表を講評するNPO法人WELgeeの渡部カンコロンゴ清花代表理事(右)と、進行役を務める認定NPO法人カタリバの今村久美代表(左)
【協賛企画】
広 告

 校則の見直しについて中高生や有識者らが議論する「ルールメイキングサミット」(主催・認定NPO法人カタリバ)が9月24、25の両日、都内会場とオンラインのハイブリッドで開催された。「ルールの見直しを通じて対話的な問題解決能力を育成する」をテーマに、中高生による発表や改善に向けた議論、熊本大学教育学部の苫野一徳准教授らゲストスピーカーによる講評や講演が行われた。

 同サミットは2019年から毎年開催され、今年で4回目。現在は経済産業省「未来の教室」実証事業の一環として実施されており、1回目には4校だった参加校が今年は127校まで増えた。初日の24日は事前審査で選ばれた17校が、4グループに分かれて校則見直しの取り組み内容を発表。2日目の25日は、それら17校の中から参加者の投票で選ばれた4校が代表校となって全体会で発表し、さらなる改善策が話し合われた。

 代表校の1校で、取り組みを始めて2年目となる栃木県立足利清風高校は、15人の生徒と顧問の小瀧智美教諭が委員会を立ち上げ、「男子も制服のスカートをはけるようにする」「前髪の長さについての規定やツーブロック禁止を廃止する」などを盛り込んだ校則の改正案を作成したと説明。

 「1年目は職員会議で提案したものの、改正には至らなかった」と言い、2年目は「全校生徒を巻き込み、全ての生徒が納得できる形にする」と決め、校内放送などで詳細に説明して理解を求めた後に、生徒総会で賛同を得て、改正にこぎつけたと語った。

 ゲストスピーカーの一人で、難民支援に取り組むNPO法人WELgeeの渡部カンコロンゴ清花代表理事は、「何かを変えたくてもうまくいかない時は、内容が悪い場合とプロセスが悪い場合がある」とした上で、自身の活動を例に挙げ、「難民のビザに関する法の改正はできなかったが、『正面から突破できないなら違うやり方がある』と考えを改め、難民が生き生きとして働ける企業を探して連携し、ビザの発行につなげることにした」と説明。

 「『難民が安心して幸せに暮らせるようにする』という支援内容は変わっていないが、そこに至るプロセスを変えた」と振り返り、足利清風高校について「プロセスに着目するという、目の付けどころの良さに感動した」と語った。

 続けて進行役を務めるカタリバの今村久美代表理事が、自身も同校を訪問したと述べた上で、「顧問の小瀧教諭が悩み抜き、他の教員との考え方の違いと戦う姿を目にしてきた」と水を向けると、同教諭は「1年目には悔し泣きをした生徒たちが、めげずに教員と対話し突破口を切り開いた。そのおかげで学校全体の雰囲気が変わり、対話の土壌ができてきたと感じている」とコメント。

 これを受け、苫野准教授は「ルールメイキングには大人が固定観念を取り払う必要がある。生徒には小瀧教諭のように底支えする大人が必要だ」と力を込めた。

広 告
広 告