安全なSNSの使い方について、親子で話し合うきっかけをつくってもらおうと、千葉県立千葉中学校(佐藤晴光校長、生徒240人)で9月26日、SNSのインスタグラムを教材にした情報モラルの授業が行われた。クリエイターとしてインスタグラムをはじめとするSNSで人気のあるぁぃぁぃさんも参加し、子どもと保護者が実際に同じSNSを楽しみながら「一緒に学んでいく姿勢が大切」とアドバイスした。
授業は2年生の「総合的な学習の時間」で実施。生徒らは普段のSNSの使用頻度や家庭のルールの有無などについて、各自の学習者用端末からグーグルフォームによるアンケートに答えた後、グループごとにSNSの使い方で保護者と衝突したり、家庭のルールを破ったりしてしまった経験について話し合い、それをどのように解決していけばいいかを考えた。
各グループからは「スマホの使用時間について、平日は1時間、休日は1時間半までと決められている。もっと使いたいと親に相談するが、『一体何にどれくらい使うのか』と聞かれ、いちいち説明するのが大変だ」「家庭のルールは特になく、親もSNSに詳しくない。どういうものがあるのかを知ってもらいたいが、いくら紹介しても興味を持ってもらえない。どうしたらいいだろうか」といった悩みが出てきた。
後半では、それまで各グループの議論を聞いていたぁぃぁぃさんによるトークセッションが行われ、自身がSNSを使い始めたころから心掛けていることや、家族内でどんな活用をしているかを紹介。保護者にSNSの良さを知ってもらう方法として「例えばインスタグラムであれば、趣味に関するものだけでなく、いろんなものが流れてくる。まずはアプリを入れてみるだけでも『こんな感じなんだ、思っていたのと違うな』と分かってもらえるのでは。普通に楽しめるものがいっぱい広がっているから、怖いものばかりではないんだということを知ることから始めて、『これは確かにはまるな』という感覚を保護者にも体験してもらい、子どもと一緒に学んでいく姿勢が大切だ」と提案した。
授業を受けた男子生徒は「友達と話し合ってみると、自分以外はちゃんと考えながら使っているんだと驚いた。自分がどんな風にSNSを使っているかを、親はほとんど知らないと思う。後になって怒られるのは嫌なので、今日のことをきっかけに話題にしてみたい」と話した。
授業を前に自分自身もインスタグラムを始めてみたという同中の武藏振一郎教諭は「いろいろな地域から生徒が通ってくる本校では、スマホの持参を認めているが、敷地内での使用は原則禁止にしている。しかし、これだけSNSが便利になり、子どもたちが使っている状況では、禁止ベースのルールを考え直し、どううまく使っていくかを理解してもらうことが重要になる」と、今回の授業の狙いを説明。「『総合的な学習の時間』では、卒業論文を書くために外部に取材することもある。SNSもさまざまな大人とつながる手段になるだろうし、修学旅行で学んだことをSNSで発信するといったこともこれからは考えられる」とも述べ、学校教育の中で生徒がSNSを積極的に活用していく可能性に触れた。
インスタグラムでは9月26日から、10代の子どもと保護者がSNSの利用について話し合うことを呼び掛けるキャンペーン「一緒に話そう!インスタANZENルール」をスタート。キャンペーンサイトでは、10代のクリエイターが自身の体験を語るインタビュー動画や、親子での話し合いのポイントを解説した「保護者とティーンのための話し合いガイド」などのコンテンツを用意している。