デジタル人材育成へ協議会が初会合 文科省・経産省が連携

デジタル人材育成へ協議会が初会合 文科省・経産省が連携
初会合に出席した永岡文科相と西村経産相
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 デジタル技術の活用を担う人材の育成・確保が求められていることを背景に、文科省と経産省、自治体、大学・高専、産業界の関係者でつくる「デジタル人材育成推進協議会」が9月29日、初会合を開いた。新社会人だけでなく現役社会人のリスキリング(新たなスキルの習得)によって、デジタル推進人材を2026年度末までに230万人育成するという政府の目標などを踏まえ、①産学官連携による大学・高専のデジタル人材育成機能の強化②地域ごとのデジタル人材ニーズの把握・検討・産業育成の促進――を議論する。

 冒頭、あいさつに立った永岡桂子文科相は「変化の激しい現代において、山積する社会課題を解決していくためには、最先端のデジタル技術の活用が必要不可欠。その担い手であるデジタル人材の育成、そして確保が喫緊の課題だ」と述べた。また西村康稔経産相は同協議会について「地方自治体、大学・高専、経済界が一堂に会する貴重な機会。それぞれの立場の取り組みに加えて、連携を深めていく場としても活用いただければ」と期待を込めた。

 初会合では、文科省・経産省からデジタル人材育成の現状が報告された後、委員がそれぞれ意見を述べた。文科省からは数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進、経産省からはデジタル人材育成プラットフォームの設置や、地域でのデジタル産業推進の取り組みなどが報告された。会合では他にも産学官連携や質の高い教員確保の必要性、都市部への人材流出などが話題に上った。

 西尾章治郎委員(国立大学協会副会長/大阪大学総長)は、米国や中国でデジタル人材育成が大規模に進められている一方、日本では大学での人材育成が十分でなく、今後、大幅な不足が生じる可能性があると警鐘を鳴らした。同時に「情報人材の育成は、大学に入学する前から開始すべき」として、高校の「情報」担当教諭の充足と高度化、特色ある学科として「情報科(仮称)」を設ける高校への重点的支援などを訴えた。

 政府は今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」で、「デジタル推進人材を26年度末までに230万人育成する取り組みを進める」とした。また5月に取りまとめられた教育未来創造会議の第一次提言では、大学でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みや、成長分野への再編を行う際の初期投資や運営支援などが盛り込まれた。

 同会議の委員は次の通り(五十音順、敬称略)。

 ▽大村秀章(全国知事会 文教・スポーツ常任委員会委員長/愛知県知事)▽神宮由紀(経済同友会 幹事・教育改革委員会副委員長)▽関聡司(新経済連盟事務局長)▽竹中洋(公立大学協会副会長/京都府立医科大学学長)▽田中愛治(日本私立大学団体連合会会長/早稲田大学総長)▽谷口功(国立高等専門学校機構理事長)▽富田達夫(情報処理推進機構理事長)▽西尾章治郎(国立大学協会副会長/大阪大学総長)▽橋本健一(彦根商工会議所副会頭・IT推進研究会委員長)▽平松浩樹(日本経済団体連合会教育・大学改革推進委員会企画部会長/富士通執行役員EVP CHRO)▽松井幹雄(電子情報技術産業協会IT・エレクトロニクス人材育成検討会委員長/横河電機執行役員人財総務本部長)

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