正規教員の割合「高い数字を維持してほしい」 永岡文科相会見

正規教員の割合「高い数字を維持してほしい」 永岡文科相会見
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
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 教員不足への対応を巡り、正規教員の割合に目標値を設定するよう全国の教育委員会に要請したことについて、永岡桂子文科相は9月30日の閣議後会見で、「各教委によって教員の年齢構成、少子化の状況などの事情が異なる。国が一律に数値を示すより前に、任命権者である各教委において、目標値を適切に設定してほしいと考えている」と述べ、正規教員の割合について国として目安を示す考えがないことを明らかにした。その上で、正規教員の割合には自治体間のばらつきがあることに懸念を示し、各教委に対して「高い数字を維持してほしい」と求めた。

 永岡文科相は、29日にオンラインで開催した都道府県・指定都市教育委員会教育長会議で、教員不足の解消に向けた取り組みを進めるよう要請したことについて、「安定的な学校教育を実現していくためには、正規職員を計画的に採用していくことが極めて重要」と指摘。「そのために、各教委において、自らが定めている5年10年程度の中長期的な採用計画の中で、目標とする正規教員の割合などを設定し、その目標値に向かって積極的に正規職員の採用を進めてほしいと考えている」と述べ、正規教員の割合に目標値を設定するよう求めたことを説明した。

 この目標値の具体的な内容については「各教委によって、教員の年齢構成、少子化の状況などの事情が異なる。任命権者である各教委においては、それぞれの地域における児童生徒数の見通しとか、正規教員の割合の現状などを分析するとともに、全国の状況も参照しつつ、目標値を適切に設定してほしい」と述べ、各地域の事情に応じて各教委がそれぞれ判断すべきだとの見解を示した。

 さらに、正規教員の割合について国が一定の目安を示す考えがあるかとの質問に対しては、「公立学校の教員の任用は、任命権者である各教委の権限と責任に基づいて行われるもの。各教委の状況がそれぞれ異なっているため、国が一律に数値を示すより前に、任命権者である各教委において、それぞれの地域における児童生徒の見通しや、それぞれの正規教員の割合の現状を分析するとともに、全国の状況も参照しつつ、目標値を適切に設定してほしいと考えている」と応じ、国から目標値を示さない考えを明らかにした。

 同時に「各教育委員会では、正規教員の割合にばらつきがある。平均を下回る教育委員会がある一方、正規教員を高い割合で維持している教委もある」と、正規教員の割合を巡って自治体間のばらつきが出ていることに懸念を表明。「各教委には高い数字を維持してほしい、というふうには考えている」と続け、各教委は正規教員の割合が高い状態を維持すべきだとの考えを示した。

 文科省の2021年度調査によると、正規教員と非正規教員の割合には自治体ごとのばらつきが大きい。教員定数に占める正規教員の割合が最も大きい自治体は東京都で104.5%となり、自治体独自の加算があるため、正規教員だけで国の教員定数を上回っている。続いて福井県98.9%、北海道98.8%、仙台市98.3%、鳥取県98.2%、愛媛県97.2%、名古屋市97.0%、新潟県96.0%、富山県95.7%、横浜市95.4%、札幌市・川崎市・新潟市それぞれ95.3%、山梨県95.2%だった。

 一方、教員定数に占める正規教員の割合が最も小さいのは沖縄県の82.3%で、教員の5.8人に1人が非正規教員だった。これに奈良県85.9%、岡山市86.0%、堺市86.7%、宮崎県・長野県それぞれ88.0%、鹿児島県88.3%、大阪府88.4%、さいたま市88.7%、福岡県・埼玉県それぞれ89.2%と続いている。

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