児童養護施設などで働く人材の確保に向けて、今年度から「社会的養護魅力発信等事業」に取り組んでいる厚労省は10月3日、同事業をNPO法人「チャイボラ」に委託することを発表した。今後は、児童養護施設などで働くことを希望する学生に、職場体験の情報を提供するなど情報発信に力を入れるほか、定着に向けた相談支援などを行う。
昨年度の児童虐待の相談対応件数が過去最多となるなど、社会的養護の重要性が増す中で、児童養護施設などで働く人材の確保や定着が課題になっている。施設では採用活動を行うだけの余裕がなく、学生が就職を希望していても、情報が限られている現状がある。
そこで、児童養護施設などの職場としての魅力を学生向けに発信し、施設での職場体験や施設職員の就業継続を支援するなど、人材確保に向けた取り組みの強化に乗り出すため、約2000万円の予算を計上して同事業を創設。実施事業者の公募を行い、これまでも独自に社会的養護に関心がある人と施設をつなぐ活動を行ってきたチャイボラに委託することを決定した。
チャイボラは運営する社会的養護総合情報サイト「チャボナビ」で施設の就職に関する情報を掲載したり、施設職員のインタビューページを新設したりして、SNSなども活用し施設への就職に関する情報を発信する。さらに興味を持った人が施設のことをより知ることができるように、オンラインなども含めた施設見学会の実施もサポートする。
また、人材の定着につなげるため、仕事の悩みを抱える施設の職員に対し、心理士や子どもの権利擁護に通じた弁護士ら専門家が連携してオンラインなどで相談に乗ることや、施設職員向けの研修プログラムの充実なども予定しているという。