公立学校の教員に対し、月額給与の4%に相当する教職調整額を支給する代わりに、残業代を支払わないことを定めた給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の抜本的な見直しに向けて、インターネットで署名活動などを展開している「給特法のこれからを考える有志の会」は10月7日、給特法を廃止し、公立学校の教員にも労働基準法を適用して残業代を支給するなどの具体的な提言をまとめた要望書をホームページで公表した。要望書では残業時間を限りなくゼロに近づけることが重要だとした上で、諸手当や基本給などの待遇は維持すべきだとしている。
有志の会では4月28日から給特法の抜本的な見直しを提案するオンライン署名を募っており、10月7日時点で6万4000筆を超える賛同が寄せられている。今後の文科省や主要政党への署名の提出に向けて、有志の会では具体的な見直しのポイントを整理した要望書案を作成。パブリックコメントを募集するなどして、内容を検討してきた。
要望書では、給特法の見直しの論点として、教職調整額や校長が残業を命じることができる「超勤項目」を増やすといった法改正や、給特法の廃止に代わって裁量労働制のような制度を導入することは、長時間労働の是正につながらないことから望まないと強調。その上で、給特法を廃止して公立学校の教員にも労基法を適用し、残業代を支給すること、校長や教育委員会に対し、厳格な労働時間の把握と管理の徹底とともに、教員が休憩や授業準備のための十分な時間や人材を確保できるようにする施策を求めた。
また、労基法に基づいて残業代を支給するようにした場合に、その費用を捻出するために教員の諸手当や基本給を下げることは、若者の教職離れを一層加速させるだけでなく、残業の削減にもつながらないと指摘。現在の待遇は維持したまま、残業代を支給しつつも残業時間を限りなくゼロに近づけていくことで、実質的に教職の待遇を向上させる必要があるとした。