入学時・在学中・卒業時など場面ごとに整理 教育データQ&A集

入学時・在学中・卒業時など場面ごとに整理 教育データQ&A集
「Q&A集」のQ項目案について意見を交わす有識者会議(YouTubeで取材)
【協賛企画】
広 告

 文科省の「教育データの利活用に関する有識者会議」は10月11日、第13回会合を開き、同省が導入したウェブ調査システム「EduSurvey」に関する報告と、今年度内に公表する予定の学校や教育委員会が参考とする「Q&A集」のQ項目案について、意見を交わした。Q&A集は「総論関係」「事例関係」「個人情報保護法関係」の3パートで構成するとしており、Q項目案について委員からは「ファーストステップとしては、いいのではないか」と評価する声が上がった。

 会議の冒頭では、文科省のウェブ調査システム「EduSurvey」について同省担当者から報告があった。同システムは、学校などに関する調査の負担軽減や迅速化を実現するために開発され、今年度から導入されている。今年度は、ウクライナから日本に避難した子どもの学校への受け入れ状況や、新学期における公立学校臨時休業状況調査、バス送迎に当たっての安全管理に関する緊急点検など、約30件の調査を試行しており、来年度は約100件の調査を実施予定としている。

 同システム導入後は各教育委員会から「学校の回答が直接届くので、教委での統合の手間が削減された」との声が上がっており、地方自治体の取りまとめ部局の担当者を対象とした調査では、同システム導入後、約6割が業務負担の軽減を実感しているという。また、複数の調査を合わせて分析したり、地域ごとのデータを分析したりすることも可能になった。

 戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教委教育長)は同システムについて評価した上で、「システム導入後に負担が増えたとか変わらないというネガティブな回答をした自治体に具体的に話を聞き、それを基にさらに改善していくといいのではないか。何の調査なのか、分析したらどんなことが分かったのかなどを、なるべく自治体に早くフィードバックしていくような仕組みも必要だろう」と話した。

 堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授)も「業務改善や働き方改革につながるシステムだ。リアルタイムで可視化されるデータが、現場の判断を早くする。さらに取り組みを加速してほしい」と要望した。

 次に、作成を進めている教育データに関する「Q&A集」について、これまでの審議を踏まえて、Q項目案が提示された。

 Q&A集は「総論関係」「事例関係」「個人情報保護法関係」の3パートで構成するとしている。「総論関係」では、「教育データとは、具体的には何か?」「教育データの利活用でどんなメリットや課題があるか」のQ項目案が示された。「事例関係」では、▽入学時・年度初め▽在学中▽卒業・進学・進級時━━の3つの代表的な場面に分けて、データの利活用やデータ管理、データの保存や提供などについて、データを利活用する際によくある疑問点を解説する形となっている。

 また、「個人情報保護法関係」では、例えば「教育データを取得・利用するにあたって、同意が必要となるのはどのような場合か」など、個人情報保護法に照らして具体的にどのように気を付ければいいのか、「事例関係」における解説をさらに掘り下げる形で詳しく解説するようなQ項目案となっている。

 渡邉雅之臨時委員(三宅法律事務所)は「学校の先生が見て理解できることが重要なので、あまり専門的になり過ぎず、第1回のQ&A集としては、このくらいシンプルなものがいいのではないか。個人情報保護法に関するQに関しても、学校現場の不安感が取り除けるものにしたい」と述べた。

 また、藤村裕一座長代理(鳴門教育大学大学院遠隔教育プログラム推進室長・教授)も「アジャイル的に解決していくとすれば、ファーストステップとしてはいい」とQ項目案に一定の評価を示した。さらに「こういうことをすると保護者などに訴えられるのではないかと、学校現場が足踏みしているケースをよく見聞きする。Q&A集を出した後には、教育データ利活用のガイドラインも作っていってほしい」と要望した。

広 告
広 告