10月11日の国連の「国際ガールズ・デー」にちなみ、貧困や紛争、災害などで困難な状況にある子どもたちを支援する国際NGOのワールド・ビジョンはこのほど、18歳を迎える前に少女が強制的に結婚させられる児童婚の現状を分析した報告書を公表した。少女に教育や政治・経済、意思決定などの機会が保障されていない社会では、児童婚のリスクが高まると警鐘を鳴らしている。
現在、世界では年間約1200万人の少女が児童婚を強制させられているとされており、早期妊娠や社会的孤立、家庭内暴力のリスクにさらされている。
今回公表された報告書『未来のための闘い(原題:Fighting for a Future)』では、児童婚のリスクが最も高い20カ国を含む、計40の低・中所得国の少女が置かれている状況について、仕事をし、それで得た収入を管理する能力(Economic opportunity)、法的・政治的なエンパワーメント(Legal and political empowerment)、健康で幸福に生きること(Health and well-being)、教育(Education)、自ら人生を選択する力(Agency)の5つの指標を用いて分析した。
その結果、こうした機会が十分にある国では児童婚の割合が10%程度であるのに対し、そうした機会がほとんどない国では52%になると想定されるなど、機会のほとんどない環境で生活していると、児童婚のリスクが高まることが示された。
また、これらの指標は密接に関連しているが、中でも教育は、少女が自分の可能性を十分に発揮できるか、児童婚を回避できるかを決める最も明確な指標になると指摘している。