文科省が官民協働で留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN」事業で、次期(2023~27年度)の奨学生の募集を開始したことを踏まえ、永岡桂子文科相は10月14日、閣議後会見で積極的な応募を呼び掛けた。その上で「新型コロナウイルス感染症の影響によって減少した日本人学生・生徒の海外留学を復活させるために、海外留学の支援や、若者の海外留学の機運の醸成に努めたい」と語った。
「トビタテ!留学JAPAN」事業の一つで、留学希望者に返済不要の奨学金を給付する「新・日本代表プログラム」は、今月12日に来年度の募集要項を公開した。次期プログラムへの刷新に伴い、高校生の採用人数を大幅に拡充するのが特徴で、より若い時期からの海外経験を重視。来年度は高校生700人、大学生250人を募集する。
永岡文科相は「海外での多様な実践活動の経験などを得て、将来の日本を支えるグローバル人材を目指していただきたい」と期待を込めた。また、同事業の原資となる寄付の目標額を100億円とし、民間企業などへの協力を呼び掛けた。
日本学生支援機構の「2020年度日本人学生留学状況調査」によれば、コロナ前に増加傾向にあり、18年度に11万5146人、19年度に10万7346人だった日本人の留学生(大学生など)の数は、20年度には1487人にまで激減した。
こうした状況から、今年5月に取りまとめられた教育未来創造会議の第1次提言などでは、グローバル人材の育成・活躍推進のための施策の一つとして「トビタテ!留学JAPAN」の発展的推進が盛り込まれた。文科省は27年をめどに、激減した外国人留学生・日本人学生の留学を、少なくともコロナ禍前の水準に回復させることを目指している。