10代のLGBTQの半数近く ここ1年で自殺を考えたと回答

10代のLGBTQの半数近く ここ1年で自殺を考えたと回答
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 10代のLGBTQで、ここ1年間の間に自殺を考えたことがあるのは半数近くに上ることが10月20日、ダイバーシティやLGBTQに関する研修などを実施しているNPO法人「ReBit(リビット)」の調査で分かった。LGBTQの若い世代は、自殺だけでなく、メンタルヘルスや孤独・孤立などでハイリスク層であることが示される一方、9割以上の学生が教職員に相談できないと答えるなど、学校での相談支援の難しさが課題として浮かび上がった。

 調査は12~34歳のLGBTQの人に対し、9月4~30日にインターネットで実施。そのうち2623件の有効回答を分析した。有効回答の中で10代が占める割合は23.5%、学生は39.6%だった。

 その結果、10代で過去1年間に自殺を考えた(自殺念慮)ことがあると答えたのは48.1%、自殺未遂は14.0%、自傷行為は38.1%と、非常に高い割合を示した。10代のLGBTQの人は、47.2%が「普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所がない」と答えており、こうした場所が「ある」と答えた人では、自殺念慮が12.2ポイント、自殺未遂が2.2ポイント、自傷行為が8.0ポイント低かった。

 さらに、10台のLGBTQは、精神疾患やメンタルヘルス、孤立・孤独を感じる割合が高いことも分かった。

 学生の回答者を対象に、この1年間でLGBTQについて学んだ経験について尋ねたところ、授業で学んだのは40.2%、教科書や副読本に載っていたと答えたのは30.9%だった。一方で、「生徒が、LGBTQに関してネタや笑いものにしていた」(35.4%)や「生徒が、性別を理由に理想的な行動を指示していた」(28.7%)など、学生の70.7%が何らかの困りごとを学校で経験し、そのうち33.6%は教員が要因となっており、93.6%の学生が教職員にセクシュアリティについて相談できないと答えていた。

 また、この1年で10代のLGBTQのうち52.4%が「学校に行きたくない」と感じており、不登校を経験したLGBTQの中学生は22.1%、高校生は14.9%を占めていた。

 こうした結果を受けて、ReBitの藥師実芳代表理事は「LGBTQの若い世代では、自殺や精神疾患、孤独・孤立などのリスクが高いことが示された。今後、特に都道府県や市区町村で、これらの対策についてまとめた施策の中で、LGBTQの視点を取り入れて、細やかな支援につなげてほしい」と強調。学校に対しては「授業で取り上げられたり、教材に載っていたりすることが増えていると実感しており、学校関係者の努力に感謝したい。7割が学校で困難な経験をしており、3割は先生によるものということも分かった。こうした困難や困りごとのないように、LGBTQの子どもが安心安全にいられる環境をつくってほしい」と呼び掛けている。

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