11月の児童虐待防止推進月間に合わせ、永岡桂子文科相は11月1日、児童虐待の根絶に向けたメッセージを出した。保護者に対して「虐待はしない」と誓うよう強調する一方、学校関係者に対しては虐待と疑われる事案に気付いた際に、市町村や児童相談所に通告するとともに関係機関と連携することを求めた。永岡文科相は同日の閣議後会見で「学校は虐待された子供を一番見つけやすい立場になろうかと思う」と述べ、学校、教育委員会と児童相談所や警察など関係機関との日常的な連携や必要な情報提供の実施を徹底するよう促した。
閣議後会見の冒頭、永岡文科相は「子供たちへの虐待は、成長と人格形成に深刻な影響を与える。児童虐待により子供たちが傷つくことは何としてもなくさなければならない。児童虐待の防止には、家庭、学校、地域が一丸となって取り組むことが重要。全国の関係者には、この月間を機に、児童虐待の防止に向け、改めて徹底した取り組みをお願いしたい」と、メッセージを発信する理由を説明した。文部科学大臣が児童虐待防止推進月間に合わせてメッセージを出すのは、昨年に続く対応となる。
質疑では、虐待やいじめ、不登校に対してアウトリーチ型の積極的な支援を行うために、専門家から学校と自治体の福祉部門との個人情報を含めた情報共有が必要との見方が出ていることについて、永岡文科相は「児童虐待の恐れのある事案については、児童虐待防止法に基づき、学校と児童相談所や警察などの関係機関がしっかりと連携して、情報共有を図って対応することが大変重要だと認識している」と指摘。
「このため、文科省は教育委員会、学校に対して、スクールソーシャルワーカーの利活用などによる日頃からの関係機関との連携促進や、要保護児童対策の地域協議会を通じた児童相談所などとの定期的な情報共有についても、学校・教育委員会向けの虐待対応の手引きに明記している。学校現場における虐待防止に関する研修教材も作成している」と説明し、「学校、教育委員会と関係機関の日頃からの連携や、必要な情報提供の実施が徹底されるように関係省庁と連携して取り組んでいきたい」と述べた。
厚労省によると、2021年度に全国225カ所の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数(速報値)は20万7659件に上り、過去最多だった。前年度比2615件(1.3%)の増加で、2年連続20万件を超えた。内容別では、暴言を吐いたり無視したりするといった心理的虐待が最も多く60.1%に当たる12万4722件で、次いで身体的虐待が23.7%の4万9238件、ネグレクトが15.1%の3万1452件、性的虐待が1.1%の2247件だった。
児童虐待の根絶に向けた永岡文科相のメッセージ
令和4年11月
文部科学大臣
永岡桂子
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令和4年11月
文部科学大臣
永岡桂子