子どもが外で遊べる環境づくりに向けた政策提言を行っている「子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会」は11月2日、放課後に小学校や保育所などの校庭・園庭を遊び場として開放することなどを求めた要望書を、小倉将信こども政策担当相に手渡した。全国の子どもたちがオンラインでつながり、外遊びに関する子どもの声を集めた「外あそび子ども作戦会議」に参加した子どもたちの代表も出席し、子どもたちの意見をまとめた「お願い」を小倉担当相にプレゼンした。
推進する会の要望書では、今、子どもたちの外遊びを巡って、「空間」「仲間」「時間」の3つの間が不足していると指摘。外遊びの環境整備として、小学校や保育所などの校庭、園庭の放課後の時間帯の開放を積極的に推進することや、公園などの遊び場の整備、子どもたちの遊びを支援する「外あそび人材」の確保や外遊びに関する包括的ガイドブックの作成を提言した。
子どもたちからは、作戦会議での議論を踏まえ、どんな遊び場がほしいかを小倉担当相に説明。神奈川県逗子市から来た小学5年生の出羽晟(じょう)さんは「近くにサッカーのできる広い公園がなくて、仕方なくマンションの駐車場のスペースで車に当たらないようにサッカーをしていたら、マンションの掲示板に『子どもがロビーや駐車場で遊ぶのは禁止』という張り紙をされてしまった」と打ち明けた。こうした安全に遊べる場所がないことに加え、塾や習い事で遊ぶ時間がないといった問題を話し、車の行き来や近所の人のことを気にしなくてよい、思いきり遊べる安全な環境をつくることや、スリルのあるアスレチックや気軽に休める場所がある公園、転んでも痛くない芝生のある広いグラウンドなどの必要性を訴えた。
一人一人の子どもたちの声に耳を傾けていた小倉担当相は「マンションの駐車場では遊んではいけないというルールがなぜできるかといえば、そこに住んでいる大人の誰かが『危ない』とか『うるさい』という苦情を言っているケースが多い。重要なのは周りの大人が、子どもがいる人もいない人も含めて子どもは社会の宝で、多少うるさくても、多少どいてほしいなと思っていても、やっぱり子どもたちが笑顔でいられることが一番だということを思ってもらえるように、政府としても発信していかないといけない」と約束。こども家庭庁として関係省庁と連携しながら、子どもの外遊び政策を推進していく考えを表明した。
推進する会のメンバーの一人で、男子400メートルハードルの日本記録保持者であるオリンピアンの為末大さんは「海外で見た風景の中で、子どもが手を上げると全部の車が止まるというのを市民全員が徹底している街があった。つまり、子ども優先をみんなが理解している。これが大切だと思った。まさにみんな(子どもたち)が真ん中。外遊びは子どもの声が聞こえる、その象徴になる」と強調した。