愛知県弥富市立十四山(じゅうしやま)中学校で、当時3年生の男子生徒が別の男子生徒を刺殺した事件で、弁護士や医師、臨床心理士、学識経験者で構成される第三者委員会「弥富市立中学校重大事案検証及び再発防止検討委員会」は11月7日、市教委に対して再発防止策などをまとめた報告書を提出した。報告書では生徒の特性に応じた生徒指導の重要性などを指摘し、研修の充実やスクールカウンセラー(SC)の増員などを求めている。
事件は昨年11月24日朝に校内の廊下で発生。包丁で刺された生徒は搬送先の病院で亡くなり、刺した生徒は駆け付けた警察によって殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されている。
市教委によると、事件発生の翌月に立ち上がった第三者委員会では、遺族側が同級生らへのヒアリングを望まなかったことから、生徒のことを知る保育所や小中学校の教職員へのヒアリング、学校側が残している記録の確認などにより、事実を検証。計11回の会合を重ね、再発防止策を取りまとめた。
再発防止策では、生徒の特性に気付いて、生徒指導を変えていく必要があるとし、そのための教員のスキルアップを提言。SCを増やして、生徒への対応を充実させたり、教員研修を充実させたりしていくことを求めた。報告書を受けて市教委では来年度以降、再発防止策に盛り込まれている取り組みを順次実施していく考え。報告書については、遺族の意向なども踏まえ、近日中に公表の在り方などを検討するという。