大阪府立高校で合同部活動を促進 来年度から近隣校同士で

大阪府立高校で合同部活動を促進 来年度から近隣校同士で
「部活動大阪モデル」について協議した大阪府総合教育会議の第2回会合(YouTubeで取材)
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 教員の負担軽減と少子化による部活動の維持が課題となっていることを受け、大阪府教育委員会は11月8日に開かれた府の総合教育会議で、近隣の府立高校が合同で部活動を実施する独自の取り組み「部活動大阪モデル」を来年度から始めることを表明した。合同部活動が実現すると、特定の教員の負担が増えることや公式大会での合同部活動の出場がネックになることから、府教委では部活動指導員をさらに増員するほか、大会主催者に対して公式大会の参加要件の制度改正を働き掛けていく方針。

 府立高校の部活動を巡っては、今年度すでに単独では試合人数を満たさない部活動が、サッカー部で18.4%、硬式野球部で16.5%に上るなど、小規模化が進んでおり、指導する教員の負担も大きくなっている。こうした背景を受けて、8月に開かれた前回の府の総合教育会議で吉村洋文知事は、近隣の学校が合同で部活動を実施し、部活動の多様性を維持する「複数校1部活制」を提案。府教委で具体策を検討し、今回の「部活動大阪モデル」の提案に至った。

 「部活動大阪モデル」では、原則として全日制の全ての府立高校で、単独で部員数が一定規模を超えている部活動を除き、合同部活動のためのペアリングを検討。合同部活動は平日の放課後に練習が行われることを踏まえ、ペアとなる高校は生徒の移動の負担を考慮して、自転車で15分以内の範囲とする。ペアが成立した高校では合同練習をするが、ペアが成立しなかった高校でも、土日中心の合同部活動の実施を検討し、公式大会への参加機会を確保する。合同部活動は運動部だけでなく、文化部も可能な範囲でオンラインの活動を併用するなどして実施する。

 市教委では現状で、府立高校の半数程度でペアリングが成立すると見込んでいる。

 合同部活動を担当する教員に負担が偏ることが懸念されるため、府教委では部活動指導員も大幅に増やす。

 また、現状では多くの団体競技種目の公式大会で合同チームの参加が認められていないことから、高体連などの大会主催者に対して、合同チームの参加を認めるなどの参加要件の改正を要望していく。

 この日の府総合教育会議に出席した吉村知事は「今の部活動を放っておいたらどんどん縮小してチームも作れないし、やりたい部活動もできない。それなら学校単位という概念を捨てたらいいのではないかという新しい試みなので、批判する声も出るかもしれないが、その先を見据えて(生徒のため、教員の負担軽減のためという)軸がぶれないようにしてもらいたい」と府教委の方針を後押しした。

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