教員の働き方を考える学生団体「Teacher Aide」は11月23日、中学校や高校の若手教員が抱えている部活動顧問にまつわる悩みをテーマにしたオンライン座談会を開いた。登壇した若手教員らは、校内の立場上、部活動の顧問になることを断りにくい現状を報告。特に経験したことのない競技を受け持たされることの“しんどさ”を訴えた。
座談会を前に「Teacher Aide」が11月12~18日にインターネットで教員に行ったアンケートでは、312人の回答者のうち、41.3%が部活動の顧問を「全くやりたくなかった」と回答。「やりたくなかった」(11.5%)や「どちらかといえばやりたくなかった」(24.7%)を合わせると、77.5%が顧問をやりたくないと答えていた。
また、部活動顧問にしんどさを「かなり感じている」という回答は46.8%を占め、「感じている」(22.4%)や「どちらかといえば感じている」(16.0%)を含めると、85.2%が何かしらのしんどさを抱えていることが浮かび上がった。
座談会に登壇した男性の高校教員は、部活動顧問の実態について、具体的な仕事の内容や手当の有無などを紹介。「その学校に行ってどの部活動を任されるかは『ガチャ』(運次第)。断ることもできないことはないけれど難しい。数学の教員に、急に明日から毎日、家庭科を教えてくれと言われるようなものだ。専門ではないものを教えることを求められる。こんなに苦しいことはない。ここに一番の部活動の闇があるし、若い人が先生になりたくないという原因になっているのではないか」と問題提起。
一方で任された以上、教員は頑張るし、成果が出ればやりがいも湧くが、その結果、校内で部活動を一所懸命にやる教員とそうでない教員の間で分断が生まれるとも指摘した。
サッカーの競技経験があり、サッカー部の顧問をしているという中学校の男性教員は「学校の中で子どもたちを教えたり、練習試合を組んだりするくらいならいいが、今は、地域の競技団体の支部長になってしまっている。県大会の大会責任者にもなっていて、参加校から次々にメンバー表のメールが届いている。それが苦痛で仕方がない。打ち合わせや予算の配分、学校で1日のうち半分くらいサッカーの仕事をしている感覚になっている」と、若手教員が地域の競技団体の事務や大会運営まで担わされている状況を説明。部活動が地域移行したら、こうした業務を誰が担っていくのかと疑問を投げ掛けた。
また、1年目の中学校の女性教員は、着任時に紙が配布され、どの部活動の顧問を希望するかを聞かれたものの、結局、希望もしておらず競技経験もないバドミントン部の顧問になってしまったと打ち明けた。バドミントン部は全国大会に出場するほどの強豪チームだが、「ベンチに座っていても何もできない。置物のように何もできず、ただ座っているだけの時間がつらい。生徒が試合に勝ったら私も喜びたいけれど、そのような状態では心からうれしいと思えない」と複雑な心境を語った。