全国初の中高一貫型の不登校特例校 愛知県が新方針案

全国初の中高一貫型の不登校特例校 愛知県が新方針案
「中高一貫教育導入方針(案)」について説明する大村知事(愛知県公式YouTubeチャンネルより)
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 生徒の多様な学習ニーズや地域の教育課題に対応するため、愛知県教育委員会は11月28日、新たな県立学校の中高一貫教育に関する方針案を公表した。不登校の生徒向けに特別の教育課程を編成できる「不登校特例校」を併設したり、外国にルーツのある生徒を対象にしたりした全国的にもユニークな中高一貫校を2026年度に開校する。

 方針案で「地域の教育ニーズ対応型」と位置付けられた中高一貫校のうち、県立日進高校に併設する予定の不登校特例校は定員を40人とし、不登校の生徒が増加している状況を踏まえ、中学校段階と高校段階を同時にスタート。不登校特例校は生徒の実態に応じて特別な教育課程を編成できるが、具体的には各地の不登校特例校の事例を参考に、年間授業時数の低減や授業時間の短縮などを今後検討する。

 高校段階では、学び直し、少人数、個に応じた指導を柱とする。単位制への改編や通信教育による単位認定、メタバース、VRなどの技術を活用した支援も検討する。不登校特例校は現在、全国に21校あるが、高校併設型は全国で初めての事例とみられる。

 11月28日に記者会見した大村秀章知事は「学校になじめずに不登校になる子どもが増えているので、そうした子どもたちに対して、高校からではちょっと遅いと言う声が教育現場からたくさんある。不登校になったり、学校になじめなかったりする子は小学校高学年くらいから顕在化してくるということなので、小から中への切り替わりのところで対応できるようにしたい。中学校で授業時間を短くして、フレキシブルにして対応できるように、教育現場からの大きな声を受けてつくることにした」と狙いを説明している。

 また、外国にルーツのある生徒を対象とした中高一貫校は、西三河地区で外国人生徒選抜を実施している県立高校を中心に検討。併設中学校は1学年40人の定員とし、外国にルーツがある児童生徒を対象とする。特別の教育課程による日本語指導や取り出し指導を行い、生徒の日本語能力に応じてきめ細かな対応をするほか、複数の言語や文化、価値観で育ってきた強みを生かし、母語・母文化にも焦点を当てた学習活動に取り組む。

 いずれの中高一貫校も、受け入れは学校体験や面接によって行う。募集定員内であれば年度途中からも入学を認める。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、企業と学校の連携・橋渡しを行うキャリア教育コーディネーターなどの常駐化も検討する。

 この他にも方針案では、「高度ものづくり型」として、県立愛知総合工科高校に中学校を併設し、中学校段階から同高専攻科までの最長8年間を通じて、コンピューターサイエンスやAIについて学び、DXをけん引する人材を育成するプランなどを盛り込んだ。

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